さて今回は引き続き、メールマーケティングのステップについて追いかけていきます。前回までで、以下の図の「リンクのクリックなどのアクション」のところまで行きました。

まだ未読の方は、まずは連載の最初からご覧ください。

目次:中小企業が今押さえるべきメールマーケティングの基礎
前回:中小企業が今押さえるべきメールマーケティングの基礎 第5回(後半):反応の良いコンテンツの作り方と、計測の手法とは?

改めて前回の大事な部分をまとめます。メールを読んでどのような気持ちになったかを計測するために、パラメータを付けたリンクを設置し、そのクリック率からプロファイリングすることが重要です。また、そのリンクは、細かい心理変化を知るためにも、最低三種類程度は用意しておいた方がよいです。

それを受けて今回は、メールからあなたのサイトに入ってきたユーザーを、どのようにコンバージョンに導いていくかの部分をお伝えします。

■サイトに集客して、すぐに帰ってしまったら意味が無い

メールによってサイトに誘導することは重要です。いわゆる集客です。しかし、集客それ自体はスタート地点に過ぎません。大事なのはその後です。何らかの興味を持ってサイトに来てくれた人が、その後も興味を持ち続け、最終的にビジネスの目標であるコンバージョンに至ってくれるかどうかですよね。どんなにたくさんメールが開封されて、どんなにたくさんサイトに誘導できたとしても、それが売上などの目標に対してインパクトを与えていなければ意味がありません。

開封率やリンクのクリック率は、あくまで「サイトに連れてくるまでに相手の興味を引きつけられたか、相手を動かせたか」の指標であり、成果と相関している指標ではありません。つまりは、サイトに来たあとの行動もきちんと評価しないとメールマーケティングでは意味が無いということです。よくある失敗例としては「たくさんサイトに連れてくることができたけれども、90%が1ページだけ見て直帰してしまった」という状況です。これでは、せっかく連れてきた意味がありませんよね。ケースによっては意味が無いどころかマイスナスになることもあります。

■サイトに来たことがむしろマイナスになるケースとは?

想像してみて下さい。あなたがDMやチラシをみて、しっとりとした雰囲気に惹かれて、とあるレストランに行ってみたとします。そのドアを開けたら、静かでゆったりとしたレストランかと思っていたのに想像以上に騒がしい。しかも店員がガチャガチャ動き回っていて落ち着きのある雰囲気とはとても言えない…。もしかしたら入らずに帰ってしまうかもしれませんし、ここまで来たのだからと入るかもしれません。しかし、おそらくもう二度と来ることはないでしょう。

サイトに来るということは嬉しい半面恐ろしい瞬間でもあります。なぜなら人間一度嫌いになったものは次からどんな魅力的なオファーを提示されたとしても、拒否するようになるからです。

子供がピーマンを一度食べて苦いと感じたら、人によっては大人になっても食べられないように、最初に感じたユーザーエクスペリエンスは、その人に非常に大きな印象と影響をあたえるのです。

これをメールマーケティングに置き換えてみましょう。まず、あなたが毎週メールマガジンを発行しているとします。これはまだ距離が遠い段階ですので、多少内容が予想と違っても意外と読み続けてくれます。どうせメールだしという良くも悪くもあまり期待していない心理状態にお客さんはあるからです。期待していない人は、失望も少ないのです。

しかし、一度サイトに来訪した人は違います。期待値が高いのです。
自分たちが期待していたような内容が無かったり、デザインやインターフェイスが良くなかったりすると、それが原因で帰ってしまうとその人が再度来てくれる可能性は殆どゼロになってしまいます。

■メールマーケティングにおいてサイト初回来訪はものすごく大事かつ繊細

メールマーケティングにおいて、このメールからサイトへユーザーを受け渡す瞬間が大きな肝となります。ここでスムーズにサイトの中を読んでくれるかどうか、と言うことがおそらくメールマーケティングのフローの中で最も気を使うところです。なので、配信後は開封率やクリック率もさながら、そのメール経由で来た人の「直帰率」や「コンバージョン率」「平均ページビュー」「平均滞在時間」などは、できるだけ素早く傾向を把握し、マズイと思ったら何らかの対策を打てるようにしておくことが重要です。

毎回の配信ごとにチェックするのもいいのですが、リストを分割して配信することができル機能があれば、まずは全体のうち一部のユーザーに試しに送ってみて、その反応を見て残りをそのまま送るのか、それとも手直しするのかを決めることができます。PDCAサイクルの間隔をかなり狭めることができます。

ここは肝なので、テスト!テスト!テスト!ですね。

■具体的にチェックすべき指標、まずは「直帰率」と「コンバージョン率」、そして「平均PV」

では、サイトに来たユーザーについて、まず確認すべき指標は何でしょうか。それは、「直帰率」と「コンバージョン率」と「平均PV」です。アクセス解析において、まずはこの3つをチェックして下さい。

・直帰率

直帰率は、サイトに来て1ページだけ見て去ってしまった人の割合です。これが80%や90%になっていたら、メールの誘導文を読んでユーザーが期待しているようなものが、ランディングページになかったということを示しています。だとすれば、一度ユーザーの気持ちになってメールを見返してみて、期待を裏切っていないかを確認してみてください。それでもピンとこなければユーザーテストを行うか、知り合いの方に試しに真っ白な頭で見てもらって下さい。直帰率が悪いケースは、大概の場合売手と買い手の意識のズレによる所が大きいからです。

一般的に、直帰率は50%から70%程度に収まるべきと言われています。ただこれはケースバイケースです。ページや商材にもよります。ですが、例えば9割以上というのは非常に悪いと考えるべきです。考えてもみて下さい。10人集客して1人しか残らず9人は1ページだけ見て去っている…そう考えると、とても良くない状態だと推測できるのではないでしょうか。

・コンバージョン率

続いて、コンバージョン率。これはまさに成果に直結する部分です。商品やサービスによっては一度でコンバージョンということはあまりないかもしれませんが、とは言え問い合わせや資料請求、申し込みといったアクションに繋げられるというのはかなり良い状態です。送ったキャンペーン事のコンバージョン率を測定してどんな内容なら成約してくれるのか、について深堀りしていくと売り込みのメールの反響が大きく変わっていきます。

メール経由ですぐにコンバージョンに結びつかない…という方はコンバージョンをもっと緩いものに変えて見るというのもひとつの手です。例えばサービス案内のページを5ページ以上見たらコンバージョンとみなす、といったような形にすればもっとたくさんのコンバージョンが発生しますので分析が楽になります。

・平均PV

そして最後に「平均PV(ページビュー)」です。

興味が沸いた人はサイト内を回遊して多くのページを見てくれる傾向が強いです。時折、自分の目的に向かって最短距離を走る人もいますが、大概の場合は念のための確認なども含めてサイト内をたくさん見て回ってくれる方が多いです。

売り手が伝えたいことを買い手に伝えるには何度も繰り返し情報に触れてもらうことが重要です。なぜなら、ネットユーザーはひとつの情報をじっくり読むと言うよりはいろいろな形でその買い手が発しているイメージを受け取り、自然に買い手の中にメッセージが浸透する、そんなものだからです。

そのためには、たくさんのページを読んでもらえたほうがいいですよね。その指標として平均PVがあります。平均滞在時間は途中で離席したりすることで容易にノイズが入ってしまいますが、平均PVはそういうことが比較的無いためかなり良いです。

それ以外にもアクセス解析ツールで見るべき指標はたくさんあります。ただ、メールマーケティングの観点ではここまでの内容をまずは押さえておき、メール配信にもその後の効果を意識した仕掛けを取り入れてみましょう。

それでは、今回はここまでです。次回は更に突っ込んで、より具体的にユーザーの行動解析の部分をお伝えしていきたいと思います。

ぜひ次回もご覧ください。