Marketing Mania

メールマーケティングにおいて、重要なポイントの1つは「そのメールを開けてもらえるかどうか」です。なぜなら、そもそもメールを開けてもらえなければ、内容を読んでもらうこともできず、当然そこからの反響につなげることもできないからです。

この「メールを開けてもらえたか?」を示す指標を一般的に「開封率」と言います。送ったメールアドレスのうち一体何%が開いたかを示す値です。

これはもちろん、高ければ高いに越したことはありません。

とは言えいったいどうやって上げればいいのでしょうか?結論から言ってしまえば「お客さんのシチュエーションと心理を把握すること」が重要です。

この記事ではそれが、具体的にはどういうことかなぜそれを行うべきなのか、そして具体的にどう落としこんでいくのか、についてお伝えします。この内容がメールタイトルを再考する一助となれば幸いです。


まず、お客さんのシチュエーションと心理を把握する


いったいそのメールは、どんな状況でどんな心理状態にいる相手の手元に届いているのでしょうか。いろんな人が読んでいるから、絞り込むことはできないと思われるかもしれません。しかし、メインの読者イメージをざっくりでもよいので作ることは重要です。誰にでも刺さるタイトルや内容などないからです。

情報の受け手は自分に関係のあること以外は興味を持ちませんので、ターゲット像を想定し、その人に「自分に関係のあること」だと思ってもらうことは、大前提です。これは開封率に限らずマーケティング全般に言えることです。

さて、それでは例えば、想定しているターゲット層が「サラリーマン」「土日は休日、主にベッドタウンから電車で通勤してくる」「スマートフォンでメールを受信している」「電車の中でニュースサイトなどをよく見る」といった人たちだったとします。

そうすると、以下の様な事が考えられないでしょうか。

件名であれば

  • 件名は、スマートフォンの少ない表示文字数に合わせて、前半部分だけで引きつけられる、及び何のメールか分かるようにすべきだろう
  • ニュースサイトのタイトルをチェックし、人気があるタイトルの付け方のエッセンスを、自社のブランドを傷つけない範囲で取り入れてみてはどうか
  • 土日に配信する場合は、平日と少し切り口を変えた件名にすべきかもしれない。例えば、仕事から一歩引いたようなものなど。

また、件名以外でも考えられることは様々にあります。

  • あまり長いメールは読まれない可能性が高いので、保存できる・シェアできる仕組みを入れておいたほうがいいのではないか
  • メールの中身も、ニュースサイトなどのように、ささっと読めるようにきちんと見出しと本文をリズミカルに配置するほうがいいのではないか
  • 通勤中にスマートフォンを見ているということは、レスポンシブメール(スマートフォンに最適化したメール)を、朝8時台程度に流すと、通勤電車の中で開封して読んでくれるのではないか
  • あまり早すぎてはいけない。例えば6時などに送ってしまうと、人によってはメール通知のバイブで起きてしまい、逆に悪い感情を抱かせるのではないか

相手のシチュエーションや心理を考えるだけでも、どのようなタイミングでどんなメールを送ったらいいかとい言うのは、ある程度見えてきます。まずは、テクニック云々より前に、こういったお客さんの状況などをきちんと想定できる、あるい把握できるように、目線をずらして考えてみてください。


受信者の立場でメール開封のシミュレーションをイメージ
開封のカギはこの3つ!


このように受け手の立場で考え「自分が受け手だとして、どんなメールだったら興味を持って開封するだろう」と考えてみてください。

その上でまず行うべきは、考える土台作りです。どんな人でもメールボックスには、あなた以外の発信者からの様々なメールがひしめいています。その中で注意を惹き、開いても良いと安心してもらい、そして開封して貰う必要があります。

さて、下図はiPhone6+での純正メールアプリの表示です。内容はぼかしてありますが、大きく3つの要素で構成されていることが分かります。

1つ目は「差出人名」2つ目は「メールの件名」3つ目は「メールの書き出し」です。これはiOSのメッセージのような、どちらかというとLINEなどのコミュニケーションツールに近いようなものを除けば、大概のメールソフトで共通です。デスクトップでも見え方は多少違いますが、構成するパーツは同じなことがほとんどです。

この3つを改善することが、開封率アップの最短距離です。

メールタイトルだけを改善するのではなく、この3つを全て改善することが必要です。


最も忘れられやすい「差出人」


この中で最も疎かにされやすいのがFrom:フィールド、いわゆる差出人名です。ここが「mail」「info」「support」といったものになっているケースが少なからず有ります。これはとてももったいないです。上記キャプチャでも分かりますが、差出人名は「太字」であったり「一番上部に記載される」など、最も目立つことがとても多いです。

とすれば、メールマガジンであれば、そのシリーズや統一されたタイトル(●●Webメルマガ」などにする方が、受け手は分かりやすくなります。●●会社が出している△△というメルマガだしたら、読者が意識しているのは△△の方です。どこが出しているかというのは、興味を持って初めて気にする部分です。

まずはこの「差出人名」の部分について、現状を確認し、受け手にとって魅力的かつわかりやすいものになっているかを確認してみてください。(もちろん、個人対個人のメールについては名前で良いと思います、あくまでマーケティング目線です)

経験上ここを変えるだけで大きく開封率は変わります。誰も「support」のようなよく分からない差出人からのメールは開けたくないですから。


サブタイトルとしての「件名」


続いてその次に目立つのが件名です。これは、サブタイトルのようなイメージで作ることをお勧めします。●●通信の第△回でタイトルは「■■■■■■■■■」の■■■■■■■■の部分です。

特に定期配信のメルマガなどはまさにこれが当てはまります。件名は最も目立つと思われがちですが、今は差出人の次に目立つようなインターフェイスになっているメールソフトが一般的です。差出人の名前と辻褄が合うようにしながらも、相手が興味を持ってくれそうな文章を、端的に表現することが重要です。特にモバイルは文字数制限が厳しいですので、最初の15〜20文字程度が勝負です。


導入としての「書き出し」


そして、その後に「書き出し」が出てきます。そのメールの中のテキスト最初の部分が出されることがほとんどです。ここは意外に重要です。

メールを沢山受け取っている人ほど、そのメールがただの宣伝だらけのメールなのかそれとも、中身のあるメールなのかを気にしています。書き出しの部分が誠実に始まっていれば、そういった人にも開いてもらいやすくなります。

そうではなく、例えば、

「●●からのおすすめ情報をお届けします」
「スマートフォンをご利用の方はこちらからご覧ください」「:::◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇(きっと模様ですね)」

といったものだと、いかにも宣伝臭くなり、開かれづらくなります。メールの書き出しには注意が必要です。

ここに一つ差出人名と、件名で開封率の変化をテストした実例があります。これはBenchmark Emailが毎月配信しているニュースレターで行われたものですが、差出人名を「Benchmark Emailメルマガ編集部」と「Benchmark Email CEO カート・ケラー」の2種類、また件名も通常のニュースレターのタイトルとBenchmark Email CEO カート・ケラーという文言をタイトルに加えたものを作成しA/Bテストを行いました。
結果、差出人名、件名共に個人名を含んだものの方が高い開封率を記録しました。

この実例を見ても、同じ内容のメールを送るにも、アイディア一つで開封率は変化するのです。


この3つを押さえて、後はテストを繰り返す


開封率を上げていくということは、基本的にはこの3つの要素について、様々なパターンを試しベストなものを探っていくことになります。リストの数が4桁以上など大きければ、リストを2つに分けてテストしてもいいですね。それほど大きくなければ、できるだけ他の条件(配信時間や曜日など)を一緒にした上で、毎回の配信ごとに変えて試してみるのが良いでしょう。

また、それを行っていくと、もしかしたら自分たちが思っていた受け手の姿は、現実と外れているかもしれないということに気づくかもしれません。そうしたら、その受け手の姿を修正していって下さい。

頭の中で考えたものが、最初から実際の現実と一致していることは稀です。テストをしながら、受け手の姿もより鮮明に正確に見えてきます。


まとめ


開封率を上げていくためには、大前提として「受け手のことを理解し」それに基づいて「差出人・件名・書き出し」を工夫し、テストを繰り返して改善していく。そして、その中で受け手の姿もより正確に鮮明にしていく。

このようなイメージで運用をしていくと、安定して高い開封率を出せるようになります。小手先のテクニックだけではなく、根本的なこういったことを行って、ぜひメールマーケティングの成果につなげて頂ければと思います。

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