2019年にLitmusは1ドルのメールマーケティング投資につき、平均的に42ドルの投資収益を得られると発表しました。自身が行っているビジネスとその顧客との関係性を育むためには、メールマーケティングは強力な手段です。
2023年にはメールのユーザー数は44億人にまで上ると言われています。またその頃には、一日で送られるメールは3,470億通までになると予測されます。これだけの驚異的な数字ですと、メールマーケティングが高い投資収益率を誇るのも頷けます。
参考記事(英語)
・Number of e-mail users worldwide from 2017 to 2023
・Marketer email tracker 2018
特別であることを重要視し、周囲と一線を画す
購読者たちは毎日大量のメールを受け取るので、あなただけが送ることのできる特別なコンテンツを購読者たちに配信出来ているかを心掛けましょう。あなたのブランドが如何に特別なのかをアピールすれば、購読者たちは自ずとあなたから配信されたメールを開封するでしょう。
では、どのようにあなたのブランドを特別なものにできるでしょうか。顧客とのエンゲージメントを高める8つの法則をご紹介します。
ユーザーが欲していて、他のブランドにないサービスを提供する
Robert BloomとDave Contiの共同著書「The Inside Advantage: The Strategy That Unlocks the Hidden Growth in Your Business(ビジネスの隠れた成長を解き放つ戦略)」で著者は、成功するブランドは「ありふれたものでもなければ、変わっているものでもない」体験を消費者に提供しなければならないと強く言っています。
消費者は自分が必要としていて、他のブランドからは手に入らないものを得られるからこそ、あなたのブランドを贔屓し続けるのです。
メールは、こうした体験を提供するのにぴったりなツールです。
事例:サムスン
ここに注目:スマホ市場はユーザー数が大量にいるマーケットです。また、ユーザーの忠誠心が非常に高いことも特徴です。サムスンはこの特徴を踏まえた上で、新機能と新商品のリストを組み合わせ、会話調の文章と目の引く画像を使用してメールマーケティングを展開しています。スマホ自体は今日ありふれたものではありますが、サムスンは「本当に特別な物」を提供していると消費者に呼びかけています。
信頼でき、消費者にとって分かりやすいモノを提供する
ではあなたが既に「ありふれたものでもあり、かつ特別なもの」である素晴らしい商品を持っているとしましょう。
効果的なマーケティングをするためには、あなたのブランドが提供しているものをシンプルかつ信頼の置けるプロダクトだと説明しなければなりません。
このような場面でも、メールはうってつけです。文章を操りシンプルにまとめることが簡単にできます。件名とプレヘッダーテキストを上手く活用し、消費者が知りたいと思っていることをメール本文で伝えましょう。
関連FAQ:プレヘッダーテキストとは何ですか?
例:ビーツ
ここに注目:シンプルこの上ありません。メールで何を伝えたいかを簡単に理解できますね。最上部にある”DON’T STOP THE MUSIC”という言葉も、人気シンガーであるリアーナの曲を彷彿とさせます。
ブランドの雰囲気を意識し、想像力を掻き立てるものを提供する
BloomとContiの言葉をもう一度引用すると、「人は想像力豊かな行為に興味をそそられ、動機づけられます。ブランドやビジネスの秘めた利点が強調され、劇のように脚色されるためです。」と言っています。
素敵なストーリーや彩られた表現はあなたのブランドを記憶に残りやすくします。そしてまた、メールはその2つを非常に効果的に組み合わせることができます。
例:Airbnb
ここに注目:まさにメールマーケティングのお手本のようなメールです。この宿泊サービスのメールを見たあとに思い浮かぶ、最初の言葉はなんでしょう。「ホーム」が印象に残りますよね。Airbnbはこのシンプルな「ホームと呼べる場所を探しましょう」というアクションボタンや、子供たちが純粋に楽しんでいる写真を掲載していたりと、アットホームさをほのかに強調しています。「ホーム」という言葉はシンプルかつ強いメッセージ性を持っており、感情に訴えるものがあります。
顧客を 世界の中心として捉える
偉大なる営業の指導者、デール・カーネギーは「2年間で自分に興味を持ってもらうより、2ヶ月の間、他者に興味を持った方が友達は作りやすい」と言っていました。
彼は1800年代の人間であることから、メールマーケティングのことは一ミリたりとも述べてはいないことは明白です。ただ、彼の著書「人を動かす」には知恵の精華が沢山詰まっており、我々含めて、これからの世代にも言えることでもあります。本旨を要約すると、ひとつの原理に辿り着きます。人は自分が最優先なのです。
そのため、まず顧客の視点を考慮してメールマーケティングに取り組むことが非常に重要になってくるのです。
初めは自身の直感に反するかもしれません。新機能や今後のセールについて述べた方がいいのでは、と思うかもしれません。もちろん、そうするべきなのです。 しかしここで重要なことは、あなたが顧客を惹きつけるものを理解し、興味をそそられるコンテンツをあなたが提供していれば、そのメッセージはより強固なものとなります。
例1:TASTY
ここに注目:Tastyが共有しているものは、思わずクリックしてしまうコンテンツばかりです。魅力的な画像や文言がまとめられていて、洗練されたテクニックが集約しています。
例2:WebpageFX
ここに注目:このデジタルマーケティングエージェントは本当に有益な情報を提供しており、最初からあなたの心を掴みます。添付されている画像はAmazon Alexaで、音声インプットをAIが処理できなかったときに起こる赤いライトが点滅しています。これも鮮烈な印象を与えてくれます。対象読者に有益さを伝えつつ、感情にも訴えかけているぴったりの例です。
読者を怒らせない
熊をつつかないでください。龍のしっぽをくすぐらないでください。卑劣なEメールを悪用して顧客の信頼を損なわないでください。
あなたがどんな言い訳をしても、その考えは熊、ドラゴン、人類、全てに当てはまります。だまされたり、いじられたり、利用されたりするのを好む者はいません。
考える必要もないことですが、クリック数や登録数を増やすために、ちょっとしたマーケティングのトリックに頼りたくなるかもしれません。(絶対に閉じることのできないポップアップのウインドウを表示したり、誰かが提供したメールアドレスを関係のないリストに登録する等)
数字を伸ばすために、こうしたチープなトリックに頼るのはやめましょう。戦いには勝つかもしれませんが、間違いなく戦争には負けるでしょう。顧客の心の中で、あなたのブランドを信頼できないという思いが生じてしまった場合、それを覆すことはほとんど不可能です。今後あなたと関わるのを避けたり、友達にそのことを話したりするでしょう。最悪、ソーシャルメディアを使って拡散する可能性もあります。
例1:Bonobos
ここに注目:件名で興味を持ったものの、開いてみたら全くの別物を提供してくるメールを受信したとき、嫌な気持ちになりませんか?例えばセール商品の案内メールを受信し、リンクをクリックするとセールに関係のない「新着商品」が際立つブランドのホームページに飛ばされるなど。それとは違い、Bonobosからのメールは内容がとても明確でシンプルです。読者のサイズに合わせたセールアイテムのリンクさえ貼ってあります。
例2:Hotjar
ここに注目:白・黒・ピンクの3色のみを使用したシンプルさに加え、素晴らしく魅力的な説明文です。本文の始まりに興味をそそられ、純粋な好奇心から読み続けるのをやめられくなってしまうような文章で作成されています。中身のない約束や、突飛な画像を使うだけのトリックとは違います。このメッセージはポッドキャストの全容を非常に簡潔に要約しています。この内容であれば、ポッドキャストを聞いてみたくなること間違いなしです。
データを分析し、顧客をより深く知る
A / Bテスト、マウストラッキング、Cookieなどを駆使するこの時代には、顧客から提供されたデータという宝物を利用しないわけにはいきません。
メールマーケティングにおいては、どういうことでしょうか。顧客の履歴や動向を元に作られた、あやふやな人物像に向けてメールを配信するのは避けたいところでしょう。細部にまで渡って具体性を求めるというような難しいことを言っている訳ではありません。しかし、ユーザーの特定の行動を元に効果のあるメッセージを作成する時間を取ってください。ユーザーの経験や行動についての重要な情報を参照すれば、パーソナライズへと繋がる長い道のりができるのです。それが信頼を構築するためのカギとなります。
例1:Uber
例2:Spotify
ここに注目:カントリーバンドのリーダー、チャールズ・ケリー氏の言葉を掲載しているこのメールは、ヒップホップ愛好家に向けて送信していないことは明らかです。どんな音楽が好きか、あなたの音楽を聞く習慣、誰をフォローしている等のユーザーデータをストリーミングサービスSpotify は、膨大に所有しています。その情報を活用してLady Antebellumのツアープリセールを発表しました。メールの受信者が頻繁にリンクをクリックしていることを知っているため、バンドの楽曲リンクもしっかりと挿入されています。
一流のユーザー体験を提供する
そのマーケットに精通している顧客にとって、平均的なユーザー体験を提供するブランドに忠誠をつくすには人生は短すぎ、かつインターネットの世界は巨大すぎます。
壊れたリンクから見づらい画像があったり、タイミングの悪いメッセージ(例えば、土曜日の夜に届くメール)が届くなど、ブランドがその顧客にとって便利さを感じさせない場合、早い段階で顧客を失うことになります。
マーケティングメールを作成、設計するときは、きれいで美しく、個人的なものにしてください。また購読者は、あなたのコンテンツを見たいと思った時のものを今後も期待してサブスクリプションに登録しているため、ブランドの一貫性は保つようにして下さい。
例:Birchbox
ここに注目:買い物をする贅沢というのは、最も裕福な人だけが手に入れることができるものです。本当にそうでしょうか?Birchboxはこのメールに製品のコンシェルジュという役割を持たせています。独自の顧客履歴に基づいて役立つブランドのリストと製品のリストを提供しています。こういったメールは顧客の時間を節約し、開封率を高め、販売に繋がる可能性が非常に高くなります。広範囲のターゲットに向けての割引コードの掲示も非常に良いです。
例2:Leadpages
ここに注目:顧客を「究極なまでに甘やかす」ブランドを気に入らない顧客がいるでしょうか?Leadpagesは、製品をプッシュしたり、サインアップしたりすることなく、豊富なコンテンツを提供することに重点を置いています。こちらのメールは簡潔にまとめられており、導入形式のメッセージとして適しています。
報酬を提供する
選択肢は無限にあるが時間は十分にないこの世界で、顧客の忠誠心に対し報酬を与えずして、顧客はあなたのブランドに固執するでしょうか。
ここでリピート割引、VIPオファー、そして報酬プログラムの出番です。ポイント3で述べた、顧客の好き嫌い、買い物履歴に関しての豊富なデータを利用する絶好の機会です。
例:スターバックス
ここに注目:スターバックスのロイヤルティプログラムに初めてサインアップした人には、1杯分のドリンクが無料になるプロモーションコードが届きました。そのプログラムでは、決められた数字を達成したときだけでなく、誕生日に割引や景品の提供もします。スターバックスは定期的に元気で明るいメッセージをメールで配信し、その多くは告知なしで届いたり、期間限定だったりします。この戦略によって、スターバックスからのメールが届くたびに顧客をワクワクさせることができます。これはまさに望ましいメールマーケティングの取り組みといえます。
例:Crocs
ここに注目:顧客がメルマガを1年間購読し続けた際には、お祝いをしましょう。クロックスはこれを巧みに利用して、メルマガ購読から1年の記念日に1回限りの15ドルの割引クーポンを送付しました。ぜひ試してみてください。購読記念日があるということだけで思慮深さを示し、ブランドへの忠誠心を築くことができるうえに、値引きは再びエンゲージメントを促進するのに最適です。
購読者に忠実であれ
良き友人というのは、どんなことがあろうといつまでも傍にいてくれます。良き友情を育むためには多少の努力が必要とされますが、しかしその努力をすれば良い形で利益を見込むことができます。あなたのメール購読者にもこのような関係性をもってアプローチすることがエンゲージメントを高める為に良いでしょう。
確かにメールマーケティングはビジネスを手助けするツールです。ただ、それはあなたの顧客のニーズを第一にして行われるべきです。自身がしたいことを一度後回しにし、購読者が欲しているニーズを満たすだけで、何倍もの利益が得られるでしょう。
購読者たちはあなたのメールを読むことを選択し、あなたから送られることを許可しているのです。それを当然なことだと捉えてはいけません。それに応えるためにも顧客中心のメールマーケティングを行ってください。