みなさんこんにちは、ラウンドナップ・コンサルティングの中山です。今回の他社メールマガジン大解剖は、CMIの略称でWebマーケティング界では有名な、「Content Marketing Institute」をご紹介します。

CMI、直訳すると「コンテンツ・マーケティング協会」でしょうか。その名の通り「コンテンツ・マーケティング」に関する教育や研修活動やイベントの開催、コンサルティング、情報発信などを行っている団体です。

私がインバウンド・マーケティングやパーミッション・マーケティングと共にコンテンツ・マーケティングに触れた時に、最初に読み漁ったサイトの1つがCMIでした。私自身2005年から、営業をしない完全インバウンド型・ホームページ集客のみで売上をあげる会社でマーケティングに携わっていたので、非常に興味深く読み込んだ記憶があります。

恐らく日本でコンテンツ戦略に関わっている方は、一度は目にしたことの有るものではないでしょうか。CMIのサイトはこちらです。

日本では、言葉として曖昧すぎる「コンテンツ・マーケティング」ですが、大きな枠組としては、コンテンツを使ってブランドを認知させてファンを作っていく。あるいは潜在客を見込み客にし、フォローして初回客にし、顧客化する。そのステップを踏んでもらうために、コンテンツを使う。そういったマーケティング手法のことです。

これを簡単に説明すると

1.潜在的なお客さんが興味を持つコンテンツを作り、検索エンジンやソーシャルメディアで見つけてもらう(認知)
2.そのコンテンツを読んだ後に、もっと他のコンテンツも見たいと思ってもらう
3.そのためにRSSやメールマガジンなどを利用してリーチできるようにする
4.その後徐々にコンテンツを見てもらい、興味を持ってもらう。言ってみれば「欲望のコップに水を注ぎ続ける」
5.「そしてある一定のラインを越えると、お客さんのコップから水があふれるので、そのタイミングを狙って、キャンペーンなどのオファーを出し、初回購買を発生させる。
6.その後は顧客化(CMI的にはエバンジェリスト)するために、アフターフォローやクロスセル(ある商品の購入に合わせて別の商品も買ってもらうこと)・アップセル(より上位の商品、サービスの購入に至ってもらうこと)を行っていく

…という流れのことです。

コンテンツ・マーケティングのキモは「お客さんの頭の中を把握し、それに合わせてコンテンツをぶつけて、吸収してもらう」ことにあります。

なので、今の価値観が多様化している日本のマーケティングでは必須の考え方なんですね。

そういった意味でも今回のメールマガジン大解剖をご覧頂ければと思います。

では早速見ていきましょう。


Content Marketing Institute の配信曜日・時間などの特徴


まず配信タイミングです。主にCMIはブログのアップ情報やイベント情報などをメールで配信しています。いわゆる売り込みではなく「お役立ち情報」がメインです。

例えばこんなメールです。

2016年のコンテンツ・マーケティングに役立つツールキット「23のチェックリストとテンプレートとガイド」という記事を紹介しています。また、その記事の中では関連記事として「コンテンツマーケティングを成功に導く14のチェックリスト・スコアボード・ワークシート」「SEOチェックリスト完全版:あなたのコンテンツマーケティング計画を成功に導く15のステップ」などの記事を関連記事として紹介しています。基本的にイベントなどがなければ、こういった記事の紹介がメインです。


配信時間・曜日


配信時間は、朝8時〜12時の間に殆どが配信されています。
土日も含めて毎日朝8時〜12時の間にかけて配信されています。

全ての曜日でこの状態です。曜日ごとの差はあまりありませんが、強いて言えば金曜日、土曜日の配信数が比較的多いようです。ただ、そこまで圧倒的に多いわけではありません。


想定される狙い


この時間帯、8時から12時の配信は、通勤時間というよりは仕事が始まる前ないし始まってすぐにメールが届くような時間帯です。恐らくですがオフィスで読まれることを想定していると思います。

日本の場合、ニュースサイト系やブログの通知メルマガは通勤時間帯を狙って送ることが多いので7時から9時の間に送られることが多いです。これは、日本と例えばアメリカなど北米の通勤事情の違いも関係しているかもしれないので一概になんとも言えない部分ではあります。

例えばアメリカは、統計や地域によっていろいろありますが、圧倒的に車通勤が多いようです。なので通勤中にメールを見るというのは日本に比べるとかなり人数が少ないと思うんですね。Podcastなどが好まれる背景にもなっているかもしれません。

なので、通勤時間ではなく朝方の一番に読んで頂けるような習慣づくりを狙っているのかなと推測します。そう考えると妥当な時間帯の配信といえるかもしれません。(こういった国ごとの事情はデータを読み解く際には重要です)


なぜ毎日情報を送り続けるのか


なぜ有用な情報を毎日送り続けることに意味があるのでしょうか。

それは、コンテンツを通じて最終的にファンになってもらうためには、その企業のことを知ってもらい、共感してもらうことが重要だからです。そして、そのためには、相手の心を開かなければなりません。

言い換えるとCMIは「潜在客を見込み客に、そして初回客にする」という見込み客育成(リードナーチャリング)のためにメールマガジンを使っています。

人間、自分が嫌ではない形で何度も接触してくる人に対しては親しみや信頼感が自然と湧くと言われています。昔の営業マンが何度も足繁くお客さんのもとに通って、御用聞きだったり、最近の旬の情報などを伝えたりしていたのも、それを狙ってのことです。

しかし、足繁く通うことを「たくさん行けば買ってもらえる」という意味だと勘違いして、何度も売り込みに行ったら追い出されます。同じように毎日セールや売り込みのメールが来たら、恐らくすぐに配信解除されてしまうでしょう。ショッピングモール系がやってしまいがちな過ちです。

そうではなく、相手が欲しがるものを定期的にただただプレゼントする。自分が知りたい情報がどんどん送られてきて、しかも邪魔な売り込みが殆ど無い。この状況になると、じわじわと送り手に対して心が開かれていきます。

CMIもそうですが、コンテンツ・マーケティングということを意識した上でメールマガジンを配信している企業はこういう考え方をしています。だからいつも決まった時間に、相手が習慣付くように、有用な情報だけを流しているんですね。ここが大事です。


そして、時々売り込む(更に情報を得ようとする)


そして、時々以下のようにeBookあるいはセミナー等の情報を流します。


これが時々なので、あまり悪い気持にはなりません。いつも有益な情報をもらっているので、むしろ興味がわきます。

しかし大概の場合こういったeBookのダウンロードやオンラインセミナーへの登録には、結構突っ込んだ個人情報を入力しないといけません。例えばそれは住所や電話番号です。信頼関係ができていれば、相手はそれをためらわず入力してくれます。

しかし考えてみてください。もし毎回こういった「個人情報をもらおうとするeBookなどのオファー」ばかり来ていたら、欲しいと思うでしょうか。きっと思わないのではないでしょうか。だから、毎回お役立ち情報を流しているんです。信頼関係を作っておけば、ここで興味を持ち個人情報を教えてくれるんですね。


成約率は高くなる


個人情報を取得でき、購読者個人の特定ができるようになった後は、CMIとしてはいろいろ売り込みたいものはあるので、セミナーの案内や個別の相談問合せの勧めなどを、企業の担当者宛てに送ります。相手も個人情報を教えていますし、CMIは過去のメール開封履歴や会社の名前などから得られる情報で、かなり相手のニーズや希望を特定できているので、成約率は高くなります。

このようなステップを踏んで、自然と成約させていく。それがコンテンツ・マーケティングの基本的な流れです。CMIはそれを忠実に行っているので、興味が有る方は一度メルマガ購読から初めてみてください。英語なので、最後のオファーが来るかは分かりませんが…(日本にエージェントはいないと思うので)


メールマガジンの最も効果的な使い方はこのような「リード育成」


今の時代、メルマガをたくさん送って売り込んでも売れません。そればかりか嫌われますし、SNSで悪い評判が一気に広がります。いま目の前の見込み客だけではなく、その回りにいるたくさんの潜在客まで失ってしまいます。

コンテンツを使って、相手の信頼を得ながら成約に持っていく仕組みづくりはとても重要です。その中で、メールは特別な存在です。

どういうことかというと、どんなに優れたコンテンツも、基本的にはPULL型、見られるのをただ待つしかありません。しかしメルマガだけはメールアドレスさえ貰えればこちらからPUSHできるのです。

そしてその強みを生かすことができる機能として海外のメール配信ツールはオートレスポンダー(日本で言うステップメール)機能が標準で付いているのが当たり前です。それだけ重要性があることが認知されているということなのかもしれません。日本の場合、オプション機能のことが多いですね。この辺りが、意識の違いだと思います。

CMIのメールマーケティングは、今必要なマーケティングの仕組みづくりを体感するために非常に有効です。一緒にインバウンド・マーケティングという言葉の生みの親であるHubSpotのメルマガも読むと良いかもしれません。

「今回のCMIの事例は、業界分析や活用例というよりも根本的な「今必要とされるマーケティング」を実現するための材料です。ぜひ、実際にサイトやメルマガを見て、感じてみてください。」

弊社のメルマガも、売り込みはほぼゼロです。たまに「追伸」で告知するだけです。でもそれで成約します。同じことです。Webサイトを制作するときも、お客さんの信頼感を得ながら判断基準を与えて「選んでもらう」「自分から欲しいと言ってもらう」ために必要なコンテンツと導線を考えます。ひたすら売り込むよその形の方が反応は確実に上です。今は売り込んでも売れません。

ぜひ、ご参考にして頂き、第一歩を踏み出して頂ければと思います。リストが既に有る方なら、お来る内容を売り込みから情報発信+時々売り込み、に変えるだけでお客さんの動きの変化が体感できると思います。

それでは今回の記事は以上です。


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第1回:Clinique(クリニーク)
第2回:Costco(コストコ)
第3回:Buffer(バッファー)

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