殆どの非営利団体(以下、NPO)がその収入源として大々的な大口の寄付金や 募金キャンペーン、そして特別イベントといった類を行なっていることでしょう。こうした活動では確かに大きな基金が得られるため、スタッフの時間とエネル ギーを最も多く費やしているはずです。一方、NPOの運営を少しでも余裕のあるものにしてくれるもう少し小規模な資金獲得努力はしていますか。皆さんの NPOは特別イベントやキャンペーンの枠を超えたファンドレイジングを忘れてしまってはいないでしょうか。

ファンドレイジングというのは確かに容易ではありませんが、しかし必ずしも特別に難しいというものでもないのです。財政を支えているメインの収入源の他に財政に少しでも余裕を得られる財源を模索しているNPOは、マッチングギフト、企業による寄付金プログラムそしてメモリアル・プログラムに目を向けて見るべきです。これらの活動は団体の財政にかなりの余裕をもたらしてくれる上、企画実行にそれほど大きな労力を要さない資金調達のオプションです。

マッチングギフト

私は多くの非営利団体がマッチングギフトのプログラムを実行していないことに常々驚かされます。このコンセプトをご存知ない方もいらっしゃるかもしれません。マッチングギフトとは企業の従業員である寄付者による寄付金額と同額をマッチングし、寄付者の雇用主が寄付する仕組みのプログラムです。その結果、プログラム各参加者の寄付金額の倍額を獲得することができるのです。どうです、素晴らしいと思いませんか。

マッチングギフトプログラムの一番優れた点は、NPO団体側の労力はほぼゼロに等しいということです。多くの場合は、寄付者である従業員は、雇用主に直接寄付の申込書類を提出し、雇用主である企業があなたのNPO団体に小切手を送ってくるのです。近年では、このプログラムの多くがオンライン登録に移行しつつあり、寄付を受けるNPO団体に、こうしたサイトにログインし、寄付が実際に届いたかどうかの受領確認を要求する企業もあります。短時間で簡単なプロセスでお金が届くプログラムです。

どんなNPOも、マッチングギフトという寄付金調達の申込用紙とオンライン寄付の画面を念頭に置いておくといいでしょう。

企業による寄付金プログラム

ここでの企業による寄付金プログラムは、十数ページもの大量な申請書を作成し、あたかも抽選に応募するような気分で申請するような従来のプログロムとは別物で、近年は、多くの企業が参加し始めています。ボランティア募集プログラムなのですが、なんと寄付金がおまけで付いてきます。このステップは、ボランティア募集を企業に依頼します。例としては、あなたのNPO団体が企画しているチャリティ・ウォークや自転車レース等のイベントで、給水ポイントで参加者に水を配る係のボランティアの募集です。すると企業は、こちらの希望人数に応じて従業員からボランティアを募ってくれ(会社によって必要人数は変わってきます)、更に寄付金まで贈ってくれるのです。

このコンセプトは企業の間で一般的になりつつあります。私がNPOに好んで紹介する企業がKohl’sです。この会社は、本社抜きで、各店舗に直接協力を依頼することを許可しています。「Associates in Action」と呼ばれるKohl’sのプログラムの詳細については、次のリンク(英文)から学ぶことができます。 http://www.kohlscorporation.com/CommunityRelations/Community04D.htm.

Home Depotも寄付とボランティアの取り仕切るプログラムの両方に力を入れている会社の一つです。彼らの理念については次のリンク(英文)から読んでみて下さい。 https://corporate.homedepot.com/CorporateResponsibility/HDFoundation/Pages/default.aspx.

メモリアル・プログラム

メモリアル・プログラムは一般的に、医療健康関連の組織や病院が対象とされています。ガンで亡くなる方が、亡くなった後、財産の一部をアメリカがん協会に寄付(メモリアル・ギフト)するよう遺言を残すというのが一例ですが、実はこの寄付の受取るNPO団体は必ずしもアメリカがん協会である必要はなく、どんなNPO団体でも、このメモリアル・ギフトを受け取ることができるのです。

方法は、NPO団体オリジナルの寄付用封筒をメモリアル・プログラム専用に作成し、遺族に渡してもらうよう葬儀業者に依頼します。各種手配に追われる多くの遺族はメモリアル・ギフトがどのNPOに寄付されるかという事まで特にこだわりません。葬儀業者が代理となって、寄付贈与先の選択肢の一つとしてあなたのNPO団体の封筒を提示します。

葬儀業者との信頼関係を築けば、年間を通じてまとまった額が入ってくるようになるでしょう。葬儀業者での封筒の在庫切れの心配を除いて、このオプションを維持する努力は最小限です。但し、このプログラムに従事する場合、あなたの代理として寄付を預かる葬儀業者が受領した寄付と共に寄付者名とその連絡先のリストを作って送って来るはずですから、それを元に必ず寄付者に謝意を表しましょう。

どんなNPOにもベースとなる収入源があります。しかし皆毎年少しでも多く資金源の余裕を確保したいと思っているはずです。もしあなたのNPOが従来の特別イベントやキャンペーン以外のファンドレイジングの手段から遠ざかっているのであれば、これを期に、ここで紹介したオプションを検討してみてはいかがですか。