メール配信リストの整理や削除はなかなか思い切って実行できないもの。マーケターにとってコンタクトリストは業界における通貨と言っても良いほど重要で、誰もがコンタクト育成には投資しています。しかし取得年月日が古かったり、複数のチームや部署で管理してきたデータなど、時間の経過と共にリストデータの質は劣化します。その結果ドメイン評価や 到達率 に悪影響を与え、売上や利益の減少につながる恐れもでてきます。

そのため今後のエンゲージメントにダメージを与えないよう、メーリングリストのクリーンアップを行う方法を見つける必要があります。クリーンアップが必要だからといって無作為にコンタクトを削除するのはお勧めできません。大量メール配信前やデータ移行時などに整理をする感覚で行っていきましょう。

業界における「ベストプラクティス」は、コンタクトが最後にメールに対してエンゲージメントしてからどの程度時間が経過しているかを元にクリーンアップを行うことです。しかしどのくらい時間が経過していたら削除するべきなのか、については条件を決定するのが難しく、短すぎればみすみすエンゲージメントのチャンスを失ってしまうことにもなりかねます。また開封やクリックが無くても有効なメールアドレスへ配信することで有利になるという データも存在します。 

そのため、まずは到達率をベースとした方法でクリーンアップを行うことがお勧めです。

到達率をベースとしたクリーンアップとは?

開封やクリック履歴以外でより確実に質の低いコンタクト削除を行いたい場合、到達率をベースとしたクリーンアップでメールのROI向上が期待できます。以下の3つのステップに従ってください:

  • メール配信におけるゴール及びメールアドレス収集方法などから、自社が考える質の高いコンタクトとは何か、を明確にしましょう。例えば、登録アドレスはオリジナルドメインのものしか受けつない会社もいれば、GmailやYahooなどフリードメインのアドレスで登録できる会社もあります。
  • 到達率の確認を行いメールアドレスが有効かどうかを確認しましょう。メールが受信箱に届く可能性が高いかどうかを確認します。 
  • 無効アドレス、及び自社で質の低いアドレスと判断したアドレスを削除しましょう。

決して楽しい作業ではありませんが、到達率ベースのリストクリーンアップは以下4つの点でメール配信ROI向上に役立ちます:

1. マーケティング効果を妨げる無効アドレスデータを明確にする

メール配信リストのクリーンアップを行う際に、まず初めに役に立たないジャンクデータとそうでないものを分別する必要があります。ただ認証されていない、あるいは有効アドレスであることが証明されていないアドレスが大量にある場合、難しい作業となることがあります。

Kickbox などのメールアドレス認証サービスでは、メールアドレスの有効性や到達性を判断し、メーリングリストの質のレベルをチェックすることができます。メールアドレスはカテゴリ化されるため、利用者がどのメールアドレスを削除し、データから取り除くのかを決めるのに役立ちます。Kickboxにおけるメールアドレスのカテゴリは以下となります:

  • Deliverable – 安全なメールアドレス。受信側のメールサーバーによって存在が確認できる。
  • Accept-all –リスクあり。受信側ドメインはメールアドレスが存在しなくても送信されたメールを全て受信するようになっている。
  • Disposable – リスクあり。サービス登録時などに一度のみ使用するメールアドレスで、その後は削除されるため無効アドレスとなる確率が高い。
  • Role – リスクあり。個人用メールではなく、support@などチームあるいは部署ごとでのメールアドレス。
  • Free – リスクの可能性あり。YahooやGmailなどのフリーアドレス。場合によっては開封・クリックなどのエンゲージメントが低くなることが予想される。
  • Undeliverable – 削除すべきメールアドレス。存在しない、あるいは無効なメールアドレスでメールを送っても届かない。

メールアドレスを質と到達率の観点からグループ分けすることで、どのコンタクトを削除すべきなのかが明らかとなり、クリーンアップ作業もシンプルになります。

2. ESPでの送信者評価アップ

強力な送信者の評判は、より多くの購読者にリーチし、長期的にはより効果的であるため、高品質のデータを維持してデータを保護することがマーケティング担当者の最大の利益であると言っても過言ではありません。

またESP(メールサービスプロバイダ)はIP評価を下げる質の低いデータを通さないようブロックします。評価の高い送信者からのメールは受信箱に届け、評価の低い送信者に対してはメールをブロックする他ブラックリストに入れることもあります。

到達率、送信者評価は様々な要素に影響されますが、高い評価をキープするのに最もシンプルで基本的な方法はオプトインメールのみが含まれる、質の高い配信リストを保つことです。リストの購入やランダムなメールアドレスの追加は御法度!

連携やAPI、手動でのアップロードなどコンタクト追加方法に関わらず、リストの質を保つためきちんとデータ管理をすることが購読者、ESPとの信頼関係を結ぶのに最短の道といえます。

3. マーケティング戦略に役立つデータの収集

どんなにデザイン性が良く質の高いコンテンツを作成しても、メールがきちんと届くか分からないリストに送っていては効果は期待できません。そのためリストの管理は非常に大切なステップとなります。

無効アドレスを削除し、承認済みの有効アドレスのみに配信を行うと、ハイレベルなマーケティングオートメーションや購読者ジャーニーでの好循環をもたらします。無効アドレスを取り除くことで配信メールの到達率が向上し、ハードエラー数は減少します。ハードエラー数の減少は送信者評価の向上につながり、送信者評価の向上は更なる到達率の向上へとつながります。最終的にはエンゲージメントやROIの向上効果が期待できます。

この好循環を最大限に引き出すには、以下2つのメール認証方法を利用しましょう:

  • リスト照合 – マニュアルアップロードで認証(既存コンタクトに最適)
  • リアルタイムAPI認証 – 登録時の認証ステップ

4. 正しいアドレス登録の促進

マーケティング戦略に時間とお金をかけて努力しても、悲しいことに無効アドレスや間違ったアドレスへ送られてしまうことがあります。

フロントエンドでは、メールアドレス登録時に入力間違いを減らすことが可能です。「メールアドレスが正しいかご確認ください」など正しいメールアドレスを入力したかどうかを確認できる仕組みを作ることで、せっかくの新規登録者を入力ミスで逃さないようにできます。毎月の登録フォームからの登録数が多い場合、1件のメールアドレスの価値を割り出し、 リアルタイム認証システム導入のROIを計算 することをお勧めします。

バックエンドでは、エンゲージメントの無い購読者やその他到達性が不明なリストを検証することで、マーケティング費用の無駄を防ぐことができます。

例えば、エラーアドレスは全て削除するべきと考える人がいますが、ソフトエラーのアドレスの中には全く配信に問題なく、利益につながるコンタクトが含まれている場合があります。実際、弊社ユーザーのサブリストのエラーリストを検証したところ、3分の1近くのメールアドレスが配信可能であることがわかりました。

有益なメールアドレスは配信可能なもののみです。そのため顧客ライフサイクルのさまざまな段階で検証することで基盤をカバーし、マーケティング活動を最大限に活用することが推奨されます。

メールデータのクリーニングやメール配信ROIの算出は、マーケティングチームにとって決して楽しいタスクではなく、簡単なタスクでもありません。しかし到達率の高いリストデータを備えることで、クリーンアッププロセスはよりシンプルになり、マーケティング費用を最大限活用することができるようになります。

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by Benchmark Team