本記事はBenchmark本社のブログ記事 “How to Reduce Email Bounce Rate and Improve Deliverability” を翻訳・編集したものです。

せっかく工夫を凝らしてメールを作成して配信しても、エラーのせいで購読者に届かないのでは努力が無駄になってしまいます。

メールマーケティングにはつきものと言っても過言ではないエラー。既に使用されていないメールアドレスだったり、受信側のメールサーバーがメンテナンス中など、理由は様々です。

エラー率は高ければ高いほど到達率へ悪影響がでます。ある調査ではエラー率は2%程度に抑えることが理想という結果がでています。2%というと100件の宛先のうち2件ですが、この程度のエラー率であれば通常範囲です。エラー率が5%を超える場合は対策を検討しましょう。

ただし心配は不要!本記事ではメールのエラーについて詳細をご紹介するとともに、エラー率を減少させメールを届ける方法をご案内します。

エラー率って何?

エラー率は送信した総件数から、迷惑メールフォルダを含む受信箱に届かなかった件数の比率を計算したものです。受信サーバー自体から受信を拒否されたものになります。

「ソフトエラー」の場合、送信サーバーはメールを到達させるためその後も複数回送信を試みます。一方「ハードエラー」の場合、不到達の理由が永続的なためメールが届くことはありません。

どのタイプのエラーであっても、エラー率に影響は出ます。1,000件の宛先にメール配信を行ったうち100件がエラーとなれば、エラー率は10%の計算となります。

ハードエラー vs. ソフトエラー

前述の通り、エラーには「ハード」と「ソフト」の2種類が存在します。ハードエラーは今後もメールが届く可能性は一切なく、ソフトエラーは受信再開する可能性があるアドレスです。

ハードエラーは無効メールアドレスや既に利用されていないメールアドレスへの配信で発生し、ソフトエラーは一時的にメール受信ができなくなっている(受信箱がいっぱい等)有効なアドレスへの配信で発生します。

ハードエラーが多く発生する場合にはメーリングリストのデータ入力間違いや、古いデータのまま運用していないかを確認する必要があります。
ソフトエラーが多数発生している場合には、スパムフィルターによりブロックされていたり、受信箱の容量が不足している可能性が考えられます。

特に、無効なアドレスへの配信を意味するハードエラーは、到達率への影響が出やすいため、しっかりと対策を行うようにしましょう。

Benchmark Emailのレポート機能では、ソフトエラーとハードエラーをそれぞれ確認できます。

動画:エラーアドレスの管理について

購読停止率 vs. エラー率

メールマーケティングにおいて鍵となる重要業績評価指標(KPI)は複数ありますが、ここでは購読停止率とエラー率についてご紹介します。

購読停止率とは、配信停止リンクを利用した受信者の割合を指します。高い購読停止率はメーリングリストの質の低さ、関連性の低いコンテンツ、メールの送りすぎ等、複数の要因が可能性として挙げられます。

エラー率は受信サーバーによってはねられ、メールが受信箱へ到達しなかった宛先の割合です。

どちらも重要な指標ですが、どちらに優先的に対策を講じるべきかは目的によって異なります。到達率の向上を目指すのであればエラー率の改善に力をいれ、エンゲージメント向上を目的とするのであれば購読停止率を減少させるための対策を優先することがお勧めです。

購読停止率とエラー率が、ともに送信者評価に影響することも念頭に置いておきましょう。

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メール送信者評価とは?

メール到達率において送信者評価は最重要課題です。

受信サーバーは受信しても安全なメールかどうか、送信者評価スコアで判断しています。このスコアが高いほど、購読者の受信箱へメールが届く可能性が高くなり、逆に低ければ低いほどメールがはねられたり迷惑メールフォルダへ振り分けられる可能性が高くなります。

送信者評価に影響を及ぼす要素は複数あり、その一部の例を以下にご紹介します。

  • エラー件数
  • 迷惑メール報告件数
  • メールコンテンツ

メール配信スタンドを選択する際には、必ず送信者評価について確認するようにしてください。高い送信者評価を保つサービスを利用することにより、メールが購読者に届きやすくなります。

送信者評価は適切なメールマーケティング運用を行っているかどうかも指標の一部となり、次の章で関連ポイントをご案内します。

メールマーケティングにおけるダブルオプトイン

確実なメール到達にダブルオプトインのプロセスは欠かせません。

ダブルオプトインとは、購読希望者がまずメルマガ購読への登録を行い、認証メールのリンクで購読の意思を再度示すプロセスを指します。2段階ステップを踏むことにより、リストに登録される全てのコンタクトがメール受信を希望し、正しいメールアドレスで登録していることを確認できます。また購読者自身、登録作業をした事実が記憶に残りやすいため、後々迷惑メール報告をするリスクも軽減されます。

メールマーケティングでダブルオプトインを適用する利点:

  • メール受信を希望する人のみにメールを送っていることが確認可能。既に興味をもってくれているコンタクトのため、開封やクリック率の向上も期待できます。
  • 提供された個人情報(メールアドレス)に対し再度確認を行うことで信頼関係を築くのに有効。
  • メールを希望する人だけに送るため、迷惑メール報告されるリスクが軽減。

作業は1ステップ増えるものの、送受信者どちらにとっても有益なダブルオプトインをぜひ採用したいところです。

Benchmark Emaiの登録フォームではダブルオプトインとシングルオプトインの両方を利用できます。

動画:2種類のオプトイン方式について

エラー率がメール到達率に与える影響について

100件のコンタクトにメールを配信して2件のエラーが出た場合、エラー率は2%となり平均的で問題のない数値ですが、エラー率が5%を超えるのであればメール到達率への影響が懸念されます。

メールのプロバイダは高いエラー率を不適切なメールマーケティング運用や質の悪いコンテンツの指標ととらえ、メールを受信したとしても迷惑メールフォルダへ振り分けてしまいます。たとえユーザーが日常的にメールを開封し、リンクをクリックするなどのエンゲージメントがあっても同様です。

その結果エンゲージメント率、クリックスルー率、そして最終的には売上にまで悪影響が出てしまうため、メールマーケティングの成功には到達率の向上が欠かせません。

エラーにより届かなかったメールは、単にコンバージョンの可能性を失うだけでなく、エラー率を増加させることとなり送信者としての評価にダメージを与えてしまいます。そのため可能な限りエラー率を減少させる努力が必要です。

エラー率の減少に役立つ対策リスト

1. メーリングリストの定期的な更新とクリーンアップ

エラー要因として最も一般的なのは、購読者情報が古く既に使用されていないメールアドレスへ配信を行っていることです。こちらはメーリングリストの定期的な見直し、データ更新、またオプトインリスト運用を徹底することで容易に防止可能です。ただ毎回コンタクト情報を全削除して一からリスト作成を行う必要はありません。

エンゲージメントがない、メールがいつも未開封の宛先を定期的に取り除くことで、健全で反応の良いアクティブなリストを築いていくことができます。本当にメールを読んでくれている人にだけ配信を行うことになるので、コンテンツも内容やトピックを需要があるものに絞ることができ、ブランド自体のエンゲージメント向上にもつながります。Apple の iOS 15 アップデートにより開封・未開封を正確にトラッキングすることが難しくなっていますが、Appleユーザー以外の購読者に対しては未だ効果的な方法となっています。

iOS 15により正確な開封率が計測できずとも、以下にご紹介する方法でリストの更新と不要アドレスの削除を効果的に行うことができます:

  • メールへのフィードバックをリクエストする一文を挿入することで、返答してくれるコンタクトを見極めることができます。
  • 投票やフォーム機能を活用し、連絡先情報に変更がある場合には知らせてもらうように購読者へお願い。
  • エンゲージメントレベルの低いコンタクトへ再度オプトインリクエストメールを送信。
  • 購読停止手続をシンプルで簡単にすることで、購読停止の代わりに迷惑メール報告される可能性を削減。
  • 全ての登録フォームにてオプトインを適用。メールアドレスを提供することで、メールを受信することに同意する旨を分かりやすくフォーム上へ記載しましょう。その注意書きを読んだうえで登録してくれる人は、メールを受け取りたい人であると考えられます。

Benchmark Emailのスマート送信機能はエンゲージメントのないコンタクトへの配信を自動的に取り除くことで、メール到達率の向上に貢献します。アクティビティの見られないメールアドレスは高いエラー率と低いエンゲージメントレベルに関係性があるため、メール到達率に悪影響を及ぼします。

また、エンゲージメントスコア機能とセグメント機能を用いると、エンゲージメントレベル別のリストを作成することもできます。

動画:反応状況に応じたリストの作り方(エンゲージメントスコア)

エンゲージメントレベルの高い購読者のみにメール配信を行うことで、キチンとメールが受信箱へ届きターゲット層へのアプローチとコンバージョンゴールを達成できます。

2. スパムフィルターに引っかかるトリガーを回避

ある調査では一日に送信されるメールのうち80%以上がスパムメールという結果が出ており、実におおよそ1400億通のスパムメールが毎日送られている計算です。スパムメールかどうかの判断はスパムフィルタによって行われ、問題無いと思っていてもスパムフィルタにひっかかり知らないうちに迷惑メールフォルダに振り分けられてしまうことがあります。

スパムフィルタに引っかかることなく受信箱へ到達させるための対策の例:

  • 信頼できるIPアドレスを使用してメールを配信
  • 新規IPを使用する場合、小規模配信を段階的に行い送信サーバーのウォームアップが完了した後に大量配信を実行
  • 不適切な言葉やコンテンツ、いびつなレイアウトやフォーマットは避けます。画像エラーや多数のリンクなども要因となります。スパムと認識されかねない要素は取り除き、1件のメールにコンテンツを詰め込まないよう心がけましょう。

3. 登録時にはダブルオプトインを採用

新規購読者の登録にダブルオプトインを設定しておくと、オプトインメール内のリンクをクリックしメールアドレス認証が完了するまではメール配信は行えません。この2段階ステップを踏むことで偽アドレスや入力間違いで存在しないメールアドレスにメールを送ってしまう可能性は限りなくゼロに近くなり、エラー率が無駄に増加してしまうことはなくなります。

またダブルオプトインの工程を経て登録する購読者は、本当にメールコンテンツを受け取りたい意思があることが分かります。メールを希望する人だけに配信することで、迷惑メール報告件数の減少など他のエリアでも利点があります。

4. 登録フォームにreCAPTCHAを設置

ボットによる偽登録に悩まされているなら、登録者が人間かどうかを確認できるreCAPTCHAを設置するのがお勧めです。入力ミスなどの人による間違いは防げませんが、人でしか回答できないビジュアルテストなどを採用することでスパム登録は防止可能です。

関連記事:登録フォームにスパムを排除するための「reCAPTCHA機能」搭載!

5. 認証済みオリジナルドメインを使用

YahooやGmail等のフリーアドレスを送信元アドレスとして使用するのではなく、ブランドや会社独自のオリジナルドメインを取得しましょう。オリジナルドメインは会社としてきちんとして見えるだけでなく、安全なメール送信者としてのステータスを受信サーバーに示すことができ、メール到達率の向上につながります。

オリジナルドメインを取得したら、ドメイン認証設定を必ず行うようにしてください。ドメイン認証を行うことでそのドメインの管理者としての役割を担い、なりすましメールやフィッシング詐欺などに悪用されることを防ぐことができます。

2024年2月にGmailとYahooメールのポリシーが変更されたように、認証済みオリジナルドメインでの配信を推奨する傾向はますます強まっています。

関連記事:GoogleとYahooの新ポリシーに準拠するためのドメイン認証設定のお願い

6. A/Bテストの活用

同じメール内容でも、少しの違いで開封やクリックを得られる確率が異なってきます。件名やCTAボタン、コピー、レイアウトなど、購読者からの反応が最も得られるバージョンをA/Bテスト機能を活用してテストしましょう。
A/Bテストでは、同じメールで2種類のバージョンを作成し、どちらがより多く開封を得られるか、あるいはエラー率が抑えられるかを確認します。比較結果でどの部分が効果的に作成できているのか、そして改善が必要な部分は何かを特定することができます。

 

関連記事:A/Bテストを使ってみよう!比較すべき項目や注意点、必要なサンプル数は?

7. 登録アドレス変更の対策

仕事用メールアドレスで登録した人が退職したり、結婚などで名前が変わった際にメールアドレスを変更することは珍しくありません。年に一度連絡先情報に変更がないか確認したり、登録メールアドレスの変更が手軽に行えるプロセスを準備しておくことが大切です。

8. 定期的な配信を継続し身近な存在として認識してもらう

メールがブロックされたり迷惑メールフォルダに入ってしまう理由の一つに、送信者に見覚えがないという点が挙げられます。仮に半年間メール配信を停止していたとしたら、購読者はブランドに対し距離を感じたり、最悪のケースではすっかり忘れられてしまっている可能性もあります。定期的な配信スケジュールに沿ってコンスタントに連絡を続けることで、距離感を縮めることが重要です。

エラー率の確認と、その他の重要な測定項目について

エラー率を確認するには複数の方法があります:

  1. メールプロバイダの統計データを確認。多くのプロバイダがエラーとなったメールの割合、エラー要因などについて公開しています。
  2. メール結果測定ツールの利用。効果測定ツールではどのアドレスがどんな要因でエラーとなったか、詳細情報を確認することができます。
  3. メール全体の測定項目を確認。急な開封率やクリックスルー率の低下がある場合、エラーが増加している可能性があります。

またエラー率の他、到達率、開封率、クリックスルー率、購読停止率などメールマーケティングにおいて重要な測定項目があります。

関連記事:メルマガの効果測定で大切な指標とは?改善ポイントも解説

全ての項目を自分で全部管理するのは大変ですが、Benchmark Emailのレポート機能なら重要な効果測定項目を一目で確認することができます。分析に役立つデータでより効果の出るメールマーケティング運用へ改善を行っていきましょう。

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最後に:エラーと到達率管理の重要性について

高いエラー率は到達率の悪化につながるだけではなく、送信者としての評価にも影響します。きちんと対策をせず、エラー率が高いままメール配信を続けてしまうと、よりメールが届きにくくなる悪循環に陥ってしまいます。そうするとエンゲージメントレベル、開封率、クリック率など全体的に落込むこととなり、最終的には売上の減少にもつながります。

本記事でご紹介したベストプラクティスを参考に、今後メール作成からリスト管理までエラーを防止する対策を実施し、メールマーケティングで得られるべき成果を余すことなく実現していただけたら幸いです!

著者:アンドレ・オエントロ
受賞歴のある解説動画サービス、Breadnbeyondの設立者。コンバージョン率の増加、契約獲得、解説動画から利益を出すサポートを行う。