こんにちは、遠藤です。Benchmark Emailを利用しているユーザーの方に、お話を伺うインタビューシリーズです。今回お話を伺ったのは、完全会員制で完全予約制の焼かない焼肉屋として肉料理を提供する29ONを展開している株式会社29ONの佐藤様です。
目次
株式会社29ONのメール施策概要
メール配信を行っているサービス名:
29ON
対象:
29ONの会員
主な配信コンテンツと頻度:
各店のメニュー、お知らせ、ECサイトの情報などを掲載したメールマガジン(週2回)
担当組織:
メールマガジンの担当者は4人
本部2名、店舗担当者2名で構成
完全会員制の「焼かない焼肉屋」29ON
━ 29ONは、どんなお店なのでしょうか?
29ONは、火を使わない焼肉屋、低温調理のコース料理を提供するお店としてスタートしました。会員制のなかでも年会費制をとっており、営業は完全予約制で行っています。都内に4店舗展開しています。
飲食業界向けにマーケティング支援を行う企業であるfavyの社内事業としてスタートし、その後独立したという背景があります。
━ メールマガジンはどのような役割で使われていますか?
29ONではDX(デジタルトランスフォーメーション)に力を入れています。デジタルの要素を使って顧客情報などを活かし、サービスを向上させていくことに注力しています。
複数のデジタルツールを使っている中でも、メールはお知らせを届ける役割と、集客の役割として非常に強いです。メールマガジンの内容は多岐に渡ります。月替わりでメニューが変わるために新メニュー情報をお届けするのはもちろん、イベントの情報も配信しています。最近では、緊急事態宣言に応じた営業時間や酒類の提供といった重要事項もご連絡しています。
会員様限定でEC販売もしているため、商品の情報を、ECサイトに繋がるリンクをつけてお送りもしています。
SNSの発信も積極的に行っていますが、そちらは日常の風景など、ライトに楽しんでいただく情報を配信しております。一方メールマガジンでは「公式の情報」のイメージで、季節ごとに変わるコース料理などの情報をしっかりとお送りしています。
SNSとメールマガジンでは使う写真も分けていますね。例えば、親しみを感じて頂く目的でスタッフが遊び心を入れた写真はSNS投稿で使用し、メールマガジンでお送りする写真は、よりフォーマルなものを使用するというように。
ユーザー層とリスト取得方法
━ メールマガジンを配信するリストは、どのように集めていらっしゃいますか?
メールマガジンは、29ONの会員様、つまり会員権を購入されている方に向けて配信をしています。会員制として運営をしており、あくまでもメールマガジンは会員様の特権ですので、一般の方には配信はしていません。
購読者のボリュームゾーンは、30代前半から40代前半です。当初は「Makuake」というクラウドファンディングサービスを使って会員募集を行いましたので、そのご縁でIT関連の方が多いです。男女比は男性の方が多めです。
会員様以外の方へのアプローチは、SNSでお店への興味関心をひいて、会員登録を促すという導線です。お店に行ってみたくなるような情報を、SNSを使って広く発信しています。会員様とお連れ様の間に「29ONって知ってますか?」「ここ、前から行きたかったんです」というような会話が生まれることで、来店につながっていくのではないかという狙いです。
配信コンテンツ
コースメニュー、お知らせ、EC情報を配信
配信頻度:週2回(メニューの告知、ECのニュースは月2回)
配信時間:平日
内容:新しいコースメニュー、お知らせ、ECで販売している商品の情報など
運用と設計について
━ メールマガジンの配信フローはどのようにされていますか?
メールマガジンの配信枠は、基本的に火曜日と金曜日に設定しています。その枠の14時からABテストをスタートして、本配信は20時に配信されるという運用です。
原稿作成は分担制です。配信する内容について、詳しい情報を持っている人がつくるようなイメージで、事前にタスクを振っています。
お店の新しいメニューの告知であれば、各店舗のスタッフが原稿を書きます。FCやECサイトの情報であれば、本部のスタッフが原稿を用意します。
━ 1通のメールを作るに、どれくらいの時間をかけていますか?
2時間ほどで原稿作りを行い、その後、2〜3名でレビューを行っています。誤字脱字のほか、掲載情報が正しいのかというところも含めた確認です。チェックが完了したらBenchmark Emailでメールマガジンを作成しています。計4時間くらいのイメージです。
メールマガジンの作成は見える化したタスクにしており、配信日から逆算して、原稿作成日などのスケジュールが組まれています。スケジューリングしてあるのは3〜4ヶ月くらい先まででしょうか。その際、内容に関してはある程度本部側で決めています。
━ 店舗ごとに、メールの内容を変更していますか?
メールの内容は分けていないので、1通のメールの中に、4店舗の情報が載ることもあります。これには、29ONの会員様は1つの会員券で全店をご利用頂けるからという理由があります。29ONグループの中で各店舗を回遊してほしいという思いがあり、会員様を飽きさせないために、全店、メニューやコンセプトを変えています。メールマガジンでも各店舗の情報を一通にまとめることで、普段足を運ばない店舗にも関心を持っていただくきっかけになればと思っています。
メールマガジンのタイトルには「心をつかむ言葉」を
━ メールマガジンのタイトルをつくるときに、意識されていることはありますか?
タイトルでどうやって気を引くかを考えて、お肉やお酒が好きという会員様の心をつかむ言葉を、なるべく冒頭に持ってきます。
例えば「○○店、今月のおすすめ」といったような言葉だと少しきれいすぎるのか、タイトルにおいては、もう少しインパクトがある言葉のほうが、A/Bテストでも反応がいい傾向にありますね。
━ タイトルをつくるときのルールはありますか?
毎回の配信でABテストを行っているので、AパターンとBパターンでタイトルの訴求軸を変えるようにしています。ひとつはメニュー訴求にして、もうひとつは他の訴求にするということが多いです。他にはルールはなく、作成陣に委ねられています。
もちろん会社としてもPDCAを回しているのですが、自由度が高い分、個人としてもPDCAを回せるなと思っています。
自分が担当したメールの開封率やクリック数が低いと、けっこう落ち込みますね。だからこそ何が悪かったのかなと考えることが増えました。
メールマガジンに自由度を持たせて、担当者の個性を出す
━ メールマガジンを作るときの、こだわりはありますか?
メールマガジンの冒頭で「誰がこのメールを書いているか」を紹介することで、より個人が出るようにしています。実店舗ではスタッフごとに言葉遣いや対応の仕方、接客の仕方が変わってくるものですので、メールマガジンでも個性が出るような作り方をしています。
もちろん書いてはいけないことの線引きはありますが、あとは比較的自由です。本部側の人がつくると、ちょっと堅くなったりもしますね。現場の人間、例えば私目線で書こうとしたら、ソムリエという役職でもあるので、皆さんが想像してくださるような、こんな香りが漂ってとか、こんなイメージができてという説明を、あえて入れたりします。キザだなと思われるくらいのキャラでいこうと思って書いています。
ご来店を頂いた方に「この前のメールは良かったよ」とか「面白かったよ」と言われることもあるので、頑張ろう!と思います。
現場の声もメールマガジンの成果を測る指標の1つ
━ メールマガジンが集客に繋がっているという指標は何を見ていますか?
判断基準としては、開封率やクリック率などの見える数値は、もちろん見ています。ただ、それだけではなく、ご来店されたお客さまに対して「どうして予約して下さったのですか?」と尋ねたときに、「メールマガジンを見て予約した」と応えていただく方が多いと感じています。
ご予約をしてくださる方、予約への誘導ができている方というのは、ほぼメールを見ている。そういったことが現場(店舗)の声から分かっているので、そこを大切にしたいなと思っています。現場の声が一番大きいですね。
見える数値でいうと、Benchmark Emalのメール内のクリックマップを確認して、メールの中で、どこまで読んで頂けているのかをチェックしています。我々はパソコンでメールマガジンを作成しますが、読まれる方の90%がスマートフォンなので、その方々が、どういうふうに見ているのか。開いてスクロールしたときに、下まで見てクリックしているのかといったことは気にするようにしています。
数字を見ながら見やすい、楽しい、伝わりやすいデザインへ
━ メールマガジンのデザインで、こだわっているところはありますか?
予約に繋がることを最も重要と考えておりますが、お客さまが楽しんでメールを見てくださることもまた大切です。下のほうまで全部見てもらえるように、興味関心を持ってもらえるように工夫をしています。
一時期はメールマガジンの後半に入れたリンクのクリック率が低く悩んでいたのですが、冒頭に「目次」を入れたところ改善されました。
また、最近はYouTubeの動画を載せるようになりました。通常のお知らせだけでなく、よりエンターテイメントとして楽しんで頂けるコンテンツとしてメールが送れるようになったのは、新しいトライかと思っています。
YouTubeでは、お肉とお酒のペアリングを提案するという業態に合わせて、希少なお肉の部位や珍しいお酒、豆知識などをご紹介しています。
ただし、情報を載せすぎるとメールが長くなってしまいます。だからこそ、クリックマップを見て「こんなに長かったら下まで見ないよね」といったことも確認しつつ、どこまでだったら不快感がないかを考えながら進めています。
メール内の文章と写真の比率は、3分の1くらいが写真です。文章からイメージする情報よりも、写真で見える情報のほうが強く伝わると思いますので、写真はなるべく多く、正しい情報になるよう心がけています。
━ 情報が多くなったときは、どういう基準で載せる載せないを決めていますか?
メールが長くなるのは、全店舗の情報と、ECサイトの情報など、掲載情報の数が多いときです。その場合はトピックの数を減らすのではなく、メールの文面を少なくして、リンクで遷移した先で内容が分かるように変えるようにしました。メールの全体量は減らしつつ、興味があるところにはリンクで飛んで読んでいただけるという形式です。
━ Benchmark Emailを使っている感想はいかがですか?
私自身は、29ONに入社してはじめて「メールマガジンを書く」ということをしましたので、当初は文章を書くことにも慣れていませんでした。そのうえ画像をつけて見やすいメールマガジンをつくることは、ゼロからはじめたら身としては、相当なハードルだったんですが、Benchmark Emailでは、割と簡単につくることができたなと感じています。
29ONは改善に積極的な社風なのですが、クリックマップのように結果が数値化されて「見える化」されているところが、私達としては改善点を見つけやすいなと思っています。あとは、日本語対応されているのがありがたいですね。
まとめ
29ONは、会員制という、いわゆる一般的な飲食店とは違う形式ではありますが、29ONの集客への取り組み方は業種・業態に関わらず参考になると思います。
メールマガジンとSNSの役割が明確に分けられていたり、YouTubeの取り組みもしっかりと目的が定まっていました。これはメールマガジンやSNSを個別にそれだけ見ているのではなく、デジタルマーケティング全体が意識されているのて、それぞれの役割が定まっているのでしょう。木を見て森を見ず。これによって、取り組みがうまくまわっていない会社は意外と多いです。
また、クリックマップを参考にして冒頭に目次を導入したり、情報の掲載方法を工夫したりと、「数字」を元にした改善を積極的に行われているのも印象的でした。さらにレポート結果だけではなく現場の声も考慮されていて、メールマガジンに対して、複数の方向から評価をされていました。
数字だけ、現場の肌感覚だけと、どちらかに偏ってしまうのではなく、両方にバランス良く目を向けることは、とても大切だと思います。
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