2024年11月6日(水)に、無料オンラインセミナー「ECリピート対策方法&メルマガのポイント」を開催いたしました。今回はセミナーレポートをお届けします。

本セミナーは、EC・ネット通販を中心とした物販ビジネス専門メディア「CommercePick」を運営する株式会社コマースピックと、当社「Benchmark Email」が共催したセミナーです。

登壇者は以下の通りで、ゲスト講師としてお招きした株式会社HATの梅田哲平さんと、弊社Benchmark Emailの山本美智がメイン講師を務め、ECの売上アップにつながるリピート対策方法とメールマーケティングのポイントについて解説いたしました。

セミナー登壇者

ここからは、セミナーの内容をダイジェストでお届けします。

EC(ネット通販)は今後の拡大・成長余地を十分に残している

日本国内の小売市場規模はおよそ150兆円と語られるケースが多いなか、そのうち国内通販市場規模は13.5兆円となっています。まだまだ通販市場は拡大の余地を十分に残していると言えるでしょう。

直近ではコロナショックと急速なデジタル化の浸透により、通販ビジネスの市場規模は急伸しています。コロナショックを差し引いても、デジタル化により通販事業において重要なローコストオペレーションが叶えられてきているため、以下のように右肩上がりの堅調な伸びを見せていると言えます。今後もこの傾向は続くことが予想されます。

EC(ネット通販)の現状 セミナースライド

通販におけるCRMの目的は「LTVの最大化」

通販ビジネスにおいて重要な「CRM」とは、新規獲得後の顧客の定着から解約防止、休眠の掘り起こしに至る施策のすべてを指します。
LTV(1人の顧客がもたらす売上や利益)を最大化するためには、顧客を分析し、一人一人にあったアクションを行うことが重要です。

LTVを最大化する実践的CRM セミナースライド

また、よく語られる指標の一つに「F2転換率」がありますが、通販ビジネスにおいては2回目の購入がLTVに大きく関わってきます。2回目の購入率を高めることによって、それ以降の売上金額を大きく上げ、黒字転換の時期を早めることができます。

F2転換率 セミナースライド

リピート商材の場合は、F2転換率だけでなく、初年度から2年目の移行(2年目も継続して購入していること)も重要です。2年目の移行率の目安は40%程度で、これよりも低い場合は改善の余地があると言えます。

メールアクションだけ見ても、種類はさまざまである

CRMにおける分析項目や施策は多岐に渡りますが、「誰に」「何を」を整理し、顧客一人一人に合った施策を打つことが重要です。以下のスライドのように、目的やターゲットごとに施策を書き出してみると、現状の把握や改善に役立ちます。

「誰に」「何を」を整理し、明確にすることで、打ち手の解像度が上がる セミナースライド

また、数ある施策のうち「メール施策」だけに注目してみても、目的やタイミング、ターゲットによってさまざまな施策を打つことができます。

メール施策(アクション)について セミナースライド

メール施策は、F2転換率やLTVの向上に影響する施策のため、顧客のフェーズや目的に合わせてコンテンツ設計を行うことが大切です。
上記は目的ごとの施策・コンテンツ例ですが、皆さんが現在行っている施策と比較し、これから実行できそうなアクションがあるか、参考にしていただけたら幸いです。

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メールマーケティングの配信計画はどう立てる?

実際にメール施策の内容が決まった後は、配信計画や目標設定を行うことになります。

EC分野のメールマーケティングの最終目標は「メール経由の売上金額」であることがほとんどですが、施策によっては、最終ゴールを「メールのクリック数」など他の数値に置く場合もあります。

メールマーケティングの目標設定 セミナースライド

例えば、一番右の「配信先アドレス数」については、アドレス数が増えるほど1通あたりの売上金額は高くなります。そのため、リスト収集の段階からメールマーケティングは始まっており、この数を増やすことが売上UPにも繋がります。

また、中間の「開封率」「クリック率」「ECサイトのCV率」を改善することでも、売上金額は上がります。

各指標について目標を設定して、自社の場合はどれが足りないのか?どこなら改善できそうか?を考えてみましょう。

メルマガのコンテンツ設計やデザインのコツ

メールの種類によって、コンテンツ設計やデザインで工夫できる点は異なります。

今回は代表的なECメルマガのコンテンツパターン3種類について解説をします。

(A)商品紹介メール
(B)クーポンメール
(C)ナーチャリングメール

商品紹介メール セミナースライド

商品紹介メールにおける商品数や説明量は企業やブランドによってさまざまで、商品数が少なめのメールから、20〜30商品を紹介しているものもあります。
最も出番が多く、配信するたびに内容の更新が必要なメールのため、更新にかかる時間をなるべく短くしつつ、 読者が求める品質のメールを届けられるバランスを狙いましょう。

デザインは、ファーストビューと件名のテーマを揃えることを意識すると、開封した読者の期待を裏切らず、購入に繋げやすくなります。

クーポンメールのデザインのコツ セミナースライド

クーポンメールは様々な場面で活用しますが、テンプレートを一度作成しておけば使い回しができます。
上記スライド画像のように、特別感を演出するメッセージや画像を入れると、より良い顧客体験が提供できます。また、割引率はわかりやすく見せて、割引コードを掲載する場合はスマホを使っている読者がコピペしやすいようにするのもポイントです。

ナーチャリングメール セミナースライド

ナーチャリングメールは会員登録・サンプル請求・初回購入などを行った方に、商品の説明や次の商品の提案などを行うメールで、主にシナリオ形式で配信します。
シナリオメールは一度設定をすれば自動で購入や継続を促すことができるため、早く始めるほどお得な施策です。

デザインのポイントとして、育成中の顧客に送るメッセージであるため、顧客体験をより大切にするといいでしょう。ウェブサイトとデザインや文章表現のテイストを揃えてブランドイメージをしっかり伝えたり、読みやすい文章量におさえて、適宜画像を入れるのがおすすめです。

メルマガの件名にも工夫を

メール施策では、顧客にメールを開封してもらうことが購入への第一歩となります。
読者がメールの開封を決める要素として最も重要なのは件名で、送信元名と本文プレビューもその次に重要です。

開封率を高める件名 セミナースライド1

件名とファーストビューの内容が一致していると開封後のパフォーマンスが良くなりやすいため、メールの構成を考える時点で件名に設定するテーマを決めておきましょう。

勝負ワードは、件名または本文プレビューの冒頭18文字以内に入れると、多くの読者の目にとまります。また、数字や日付、限定感やお得感を感じる言葉などは開封率が上がりやすくなると言われているため、優先して冒頭に入れるようにしましょう。

開封率を高める件名 セミナースライド2

事前質問へのご回答

本セミナーでは事前質問を募集し、セミナーの最後に講師が回答をさせていただくコーナーを設けました。
以下が事前質問コーナーで取り上げさせていただいたご質問と回答です。

事前質問①メルマガの開封率やクリック率、ECサイトのCV率はどれくらいの数字だといい方なのでしょうか?

回答:事前質問①の回答 セミナースライド

【メルマガの開封率やクリック率について】
メルマガについては、まずはBenchmarkユーザーの平均値を参考にしてみましょう。上記スライドの平均開封率・クリック率は小売・消費サービス業界のグローバル平均値です。
また、平均値と比べるだけではなく自社の推移を見て、結果がよかった時、悪かった時の傾向を分析してください。

もし平均値より低いのであれば、メールのコンテンツや件名、配信頻度に改善の余地があるのかもしれません。リストのロイヤリティが一般より低めとも考えられますので、定期配信による認知づけや、商品やブランドの魅力を伝えるための取り組み、また関心の高い商品を送るセグメント配信も検討するといいと思います。

【ECサイトのCV率について】
一般的に、ECサイトのCV率は平均1〜3%と言われております。そのため、目標としてまずは2%程度を目指すことが多いです。メルマガ経由の場合、より高いCV率が期待できる場合もありますが、ひとまず2〜3%を基準に判断して良いと思います。

ただ、これはあくまで全体の平均値であり、流入経路によってCV率は変わってきます。商材によっても変動しますので、すでに2%以上ある事業者様であれば、更なる向上を目指しましょう。
CV率をどの程度まで目指すかについては、全体を見渡し、最も効果がある施策を優先するのが良いと思います。

 

事前質問②HTMLメールとテキストメールのどちらがEC向けか知りたいです。また、C向け商材であればスマホ利用を想定すればよいでしょうか?

回答:
事前質問②の回答 HTMLメールとテキストメール セミナースライド

圧倒的にHTMLメールがおすすめです。
前提として、技術的には効果計測ができるHTMLメールを採用いただきたいです。今回はおそらくその上で、どちらのデザインがECに向いているかというご相談かと思うのですが、左側のデザインであれば、画像で商品の魅力を伝えられ、ボタンで積極的にクリックを促せるのでおすすめです。

購読者の方も左のようなメールの方が最近では見慣れていますので、長文で語りかけるような内容にする場合でも、ロゴや商品画像を入れてHTMLメールらしい体裁にすると親しみが湧いて受け取りやすいと思います。

また、スマホとPCについてはこのような調査結果がございます。
スマホとPCどちらでメルマガを読みますか? セミナースライド

これは年代別に青のスマホ派と、灰色のPC派の比率をまとめた結果です。配信先の年代に応じて参考にしていただければ幸いです。
もしご自身のECサイトのアクセス解析データをお持ちの場合は、実際に使われているデバイスを参考にされるのが一番だと思います。

 

事前質問③既存顧客向けに、関係性を強化できるような効果的な手法やメールの配信内容(ネタ)について模索しています。

回答:
配信は、全体配信とセグメント配信を組み合わせて検討してみてください。その中で、商品やサービスを売るためのメールと、情報提供をするナレッジメールを組み合わせましょう。毎回「買ってください」というメールをお届けするのではなく、商品の使い方やノウハウなど役立つ情報も送った上で、「今こちらがお安いのでいかがですか」といったセリングメールを差し込んでいくのがおすすめです。

配信内容(ネタ)については、過去に反応の良かったネタや読者の関心が高そうな内容に関しては、一回配信したら終わりではなく、切り口を変えて何回か配信するようにしましょう。SNSなど他のチャネルで投稿したものも含めて使い回していくといいと思います。

 

今後のセミナー開催について

今回ECのご担当者様向けのテーマでセミナーを開催しましたが、Benchmarkユーザーの皆様からも大変ご好評をいただき、誠にありがとうございました。

日程が合わずにご参加いただけなかった方や、参加を迷われた方もいると思いますが、本セミナーレポートを見てご興味を持っていただいた方は、ぜひ次回以降のセミナーにお申し込みください。

セミナーの最新情報は弊社のニュースレターで随時お届けしております。

Benchmarkユーザーの皆様は既にニュースレターを受け取られていると思いますが、新しく受け取りを開始したい方はこちらよりご登録ください。

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著者情報:

by 山本 百合子