Benchmark Emailではユーザーさんを招いたワークショップを定期的に実施しておりますが、他社開催のイベントにお呼ばれしてメールマーケティングのノウハウについてお話させていただくこともあります。

先日、9/5(火)にはドコモ・イノベーションビレッジ主催のイベントにて、メールマーケティングにおけるパーソナライズについて、当社エバンジェリストの笠原がお話をさせていただきました。

どう取り組む?デジタル「パーソナライズマーケティング」。~ツール導入前に必要な「考え方」を身につけよう(終了)

当日のモデレーターは当社のワークショップ講師でおなじみの前田考歩氏。登壇は当社含めて3社で、それぞれ顧客とのエンゲージメントを高めるためのソリューションを提供している企業さんですので、レポート後半で簡単にではございますがご紹介させていただきます。

今回のイベントのテーマは、いかにデジタルマーケティングの施策で「企業が発するメッセージをターゲットの趣味嗜好や行動履歴に合わせて絞りこみ、適切なタイミングと場所に送ってコンバージョンさせるか」ということで、シーセンス株式会社からDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)について、株式会社クリエジャパンから動画活用について、そして当社からはメールマーケティングについて、それぞれ考え方やツールの利用法を解説いたしました。

『メールマーケティングにおけるパーソナライズとは?』

株式会社ベンチマークジャパン エバンジェリスト 笠原吾郎

当社笠原の当日のプレゼンテーションをダイジェストでご紹介します。

一般的に「メールマーケティング」で「パーソナライズ」というと、例えば「送信先ごとに宛名を変える」などが分かりやすいかとは思いますが、実は大きく分けて4種類のパーソナライズが可能です。

そもそも、メールマーケティングの特徴とはなんでしょう?大前提ではありますが、メールマーケティングは「プッシュ型のコンテンツマーケティング」です。

コンテンツマーケティングにも様々な手法がありますが、多くの場合、例えばSEOでもリスティングでも、ターゲット顧客にはサイトやページに訪問してもらう必要があります。つまり「プル型」のマーケティングが多いかと思います。

一方、メールはターゲット顧客に対してプッシュ型で送信が行なえるため、能動的にタッチポイントをつくることができます。さらに、本日のテーマでもある「パーソナライズ」を行うこと、つまり各顧客に適したコンテンツを届けることでコンバージョン率やエンゲージメントを高めることが可能です。

では、メールマーケティングでは、具体的にどのようなパーソナライズの方法があるのでしょうか。大きく4つについて解説をしていきます。

  1. 宛先のパーソナライズ
  2. コンテンツのパーソナライズ
  3. タイミングのパーソナライズ
  4. 行動結果のパーソナライズ

1.宛先のパーソナライズ

まずは、「1.宛先のパーソナライズ」からお話していきましょう。これは、皆さんが最もイメージしやすい手法かと思います。

例えば、顧客リストを「①未購入顧客」「②購入済み顧客」「③ロイヤル(リピーターなど優良)顧客」など売上高や取引実績で分けて、それぞれに異なるメールを送る、などが該当します。そのため、取引実績に応じたリストの分類や、フォームやアンケートを活用して、例えば性別や業種、 都道府県などの情報を取得し、属性ごとに分類を行うことが必要になります。

ちなみに、Benchmark Emailでは登録フォームの作成や、顧客管理機能の中にリストセグメント機能がございますので、一度設定すれば自動でリストの振り分けを行なうことができます。

これによって、例えばある新卒採用向けの人材サービス企業様ですと、登録時に聞いた大学名や学部名でセグメントをして、メールには「○大OBインタビュー掲載!」「○○学部で学んだことを活かせます!」というパーソナライズされた件名で配信することで開封率を上げるなどのパーソナライズ施策ができるようになります。

2.コンテンツのパーソナライズ

こちら先ほどの「1.宛先のパーソナライズ」とも重複しますが、例えば「◯◯様」や、「◯◯ご出身の方へ」の◯◯部分に、「氏名」「都道府県名」など特定のフィールド名を挿入するのが最も簡単なコンテンツのパーソナライズの手法ですし、さらに顧客の課題によってメールの内容を変えるのはもちろん、例えば動画や画像を属性に応じて差し替えることでそのターゲットに合った情報を届けることができるようになり、メールの開封率やそのメール内のリンククリック率、そして最終的にコンバージョンを向上させることができます。

3.タイミングのパーソナライズ

これは、前出の「内容」のパーソナライズとは異なり、情報を届ける「タイミング」をパーソナライズすることでコンバージョンを増やすというものです。いわゆる「ステップメール」という形でご利用されているケースが多いかもしれません。

例えば、購入やメルマガ購読の日を起点として、次回の接触として好ましいと考えられるタイミング、例えば◯日後に◯のメールを送る、という設定をしておくことで、その日になると自動的に配信が行なわれていきます。読者にとって「ちょうど欲しかった」タイミングでメッセージが届くことでコンバージョン率を向上させることができます。

また、見込み顧客の検討タイミング、例えば、資料請求から◯日後に「後にご不明な点はありませんか?」というメールを送ることでより良いコミュニケーションを取ることができる様になります。

4.行動結果のパーソナライズ

こちらは、ステップメールに似ていますが、「顧客の反応によってパーソナライズを行なう」という高度な機能です。

そもそも、メールマーケティングにおける「顧客の反応」には、

  • 配信リストに登録される(メルマガ購読の開始、商品の購入)
  • メールの開封
  • メール内のリンクのクリック(特定ページへのアクセス)

などがありますが、それぞれの反応に応じてメールを送ったり、特定のリストにセグメントを行なうことができます。例えば、「あるメールを開封した人にはこのメールを送る」「あるメールのリンクをクリックして、あるページを訪問した人をこのリストにセグメントする」などのパーソナライズが可能です。

またその為には、「顧客がどんな反応をしたら、どんなメッセージを送るか」という、「シナリオ」をあらかじめ設定しておく必要があります。最近ではマーケティングオートメーションの領域に含まれるかもしれません。

少し複雑な例ですが、ECサイトですと、カゴ落ちユーザーへのフォローアップがそれにあたります。

例えば、「受け取ったメルマガを開封して、メルマガに掲載されていた商品をカートに入れたものの(特定ページのアクセス)、結局買わなかった」というユーザーの行動があるのに対し 「購入後のサンクスページに行かなかった(特定ページの非アクセス)ユーザーに対して、自動的に特別なクーポンメールを送る」、というシナリオを設定しておくことで、再度購入を促すことによってコンバージョンを向上させます。

Benchmark Emailでは、またβ版ではありますが、EMA(Email Marketing Automation)という機能にてこのパーソナライズを実現することができます。

以上の様に、メールマーケティングでは、読者の登録情報、メールへの反応に応じて、内容やタイミングをパーソナライズすることができます。一方でこれらを実現する為には大変な手間もかかりますが、弊社Benchmark Emailの様なツールを利用して、極力自動化をしていただくことでパーソナライズを実現させることができます。

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以下は簡単にではありますが、ご一緒させていただいた2社のご紹介です。

『ユーザーを理解して、効果的なパーソナライゼーションを実現するには』

シーセンス株式会社 代表取締役社長CEO 江川亮一氏

キートピック

-デジタルマーケティングの状況について

現在、オンライン広告はGoogleやFacebookが収益の多くを占め、プラットフォーマーが非常に強い状況。自分達が意識を変えて、自分達がお客さんを囲い込んでいかなければならない。

-メディアの役割

これまでは広告枠を販売していたが、どのようなプロモーション、取り組みを行うことで人を集められるのか?を考えていく必要がある。

-広告主の役割

これまでは予算を作って代理店などへ依頼して出稿していたが、今後さらに増えるタッチポイントを踏まえてユーザー、ファンへのおもてなしを真剣に考えなければならない。

-データを活用することで実現できること

自社で、可能な限りのトラフィックを取得し、タッチポイントを横断して高品質なエクスペリエンスを提供することができる。例えばサイトのパーソナライズ、オススメ商品の表示、パーソナライズされたバナーの表示、会員ユーザーフローの分析ならびに離脱ユーザーの囲い込みなど。その為にも、しっかりと設計されたパーソナライゼーションと、そのシステムが必要。

『データドリブンの動画によるコミュニケーション』

株式会社クリエジャパン COO 渡邊克彦氏

キートピック

-パーソナライズ動画の普及

顧客に合わせた動画を生成することでエンゲージを高めるといった考え方や施策は米国では以前からあるものの、国内では2年程前から普及してきたとのこと。ユーザーによる動画の視聴が一気に加速しており、特にスマホの伸びが大きいそうです。

-パーソナライズの分析軸

パーソナライズの為の情報分析は高度化しており、CRMやマーケティングオートメーション、ビッグデータなどと連携。webアンケートの回答によって動画が変わるなども可能とのことです。

-活用方法

パーソナライズド動画、ワンツーワンのメールなどにより、ユーザーに最適化された動画を自動生成することで「自分ごと感」を出すことができます。mpeg4形式の動画のため、メールやwebなどでも活用しやすく、ショートメッセージでも利用されているそうです。例えばコールドコールでも一本お電話をしたあとに、「詳しくはメッセージを見てください」とお伝えしてSMSで動画を送る、などの活用もできるとのこと。

関連記事:これさえ読めば丸わかり!2017年メールマーケティングトレンド

-パーソナライズ動画の仕組み

素材合成(スーパーインボーズ)によってユーザー属性ごとに動画の中身を変えることができるそうです。例えば挿入テキストの色を変えたり(男性なら青文字で左から右に流れて表示されるアミメーションを、女性なら赤文字で右から左に表示させるなど)、シナリオ合成(パーツ動画結合)によって、ユーザーの属性や行動履歴などのパラメータにあわせて動画の出し分けを行なうことができるとのこと。

さいごに

「パーソナライズ」、「One to One」。3社それぞれ提供するソリューションは違えど、つまるところ、ターゲット顧客の属性や課題、趣味嗜好、行動履歴に合わせて「パーソナライズ」したコンテンツを好ましいタイミングで送り伝えてコンバージョンを向上させる点で、基本的な考え方は全く同じものであることが分かりました。

一昔前であれば、「パーソナライズ」は、たとえば営業マンがお客さんの好みを覚えて絶妙なさじ加減でコミュニケーションを取ったり、人力でリストをセグメントしていたかと思いますが、現在では当セミナーの3社の様なツールを活用することで、データに基づいてそれらのコミュニケーションを自動化することができるようになってきています。是非ご興味をもたれた方は各社のWebサイトもご覧になってください。

最後に、こちらはセミナー会場後方にあった素敵なジオラマのご紹介。本日機会をくださったドコモ・イノベーションビレッジでは、オープンイノベーションのコミュニティ運営や、定期的に様々なテーマの勉強会を開催されているとのことですので、是非ご覧になってみてください!