こんにちは。遠藤です。Benchmark Emailを利用しているユーザーの方に、お話を伺うインタビューシリーズです。今回お話を伺ったのは、デザイン専門書をメインに扱う出版社「株式会社パイ インターナショナル」広報の塩澤様です。

PIE Internationalのメール施策

メール配信を行っているサービス内容:PIE International(出版)
・デザイナー向けの専門的なデザイン書
・写真やアート、実用書、コミックアート、児童書

対象:
・登録フォームからの購読希望者
・読者ハガキからの購読希望者

主な配信コンテンツと頻度:
メール1:新刊の案内(1回/月)
メール2:今月の特集(1回/月)
メール3:児童書・「100枚レターブック」シリーズの新刊案内(1回/3~4ヶ月)

担当組織:
メールマガジンの担当者:2人

デザイナー向けの専門書をメインに扱う出版社「PIE International」

━PIE Internationalは、どのような出版社なのでしょうか?
PIE Internationalのメインは、創業のきっかけでもある「デザイナー向けの専門的なデザイン書」です。いまは派生して、写真やアート関係の本、実用書も扱っています。最近力を入れているのはコミックアートや児童書です。

出版に関連して、展示・サイン会・トークイベントも行なっています。最近では、COREDO日本橋にある台湾から初上陸した「誠品生活」という書店のイベントスペースを借りて、2カ月くらい展示と物販をしていました。

書籍が並ぶ温かみのあるオフィス

 

ユーザー層とリスト取得方法

━メールマガジンを購読している人はどんな方が多いのでしょうか?
デザイナーやクリエイター向けの本が多いので、メールマガジンもデザイナーやクリエイターの方が購読をしてくださっている場合が多いです。
しかし最近は児童書や「100枚レターブック」シリーズ(※後述)といった違う層からのお客様も増えていますね。

━メールマガジンの配信リストはどのように得られていますか?
ホームページから「メールマガジンの購読」に登録をするか、読者ハガキで「メールマガジンを購読したい」と申し込んでいただきます。
ホームページからの登録と読者ハガキからの登録の割合は半々ぐらいです。みなさん、本が好きな人なので、アナログ好きな人が多いのか、読者ハガキはけっこういただきます。

読者ハガキは購入した本に封入されているのですが、それぞれのハガキに「本のタイトル」が書かれているので、どのジャンルからの読者かが分かるんです。

最近メルマガを独立させた「100枚レターブック」シリーズは特設サイトを用意していて、専用の登録フォームからアドレスを取得しています。

いずれも自社の顧客管理システムに一度登録して、Benchmark Emailへは毎回の配信ごとにリストをアップロードしています。

配信コンテンツ

メール1:新刊の案内

メール全文を見る(クリックで見れない場合はこちら

配信頻度:月1回くらい
配信時間:午前10時頃
内容:新刊の案内

毎月の新刊案内を発信しています。イベント情報や旬な情報もここでお届けしています。
書店に行かないと売られていることがわからないという状況のままだと、告知として浅いので、そこをフォローするのがメルマガです。

新刊案内は決まったフォーマットを用意してあり、情報を流し込むだけで、悩まずに作れるようになっています。
新刊案内に追加するイベント情報やお知らせは、広報担当で相談し、どれを載せるかを決めています。なるべく発売した月のうちにお知らせすることを意識して「今だったらこの情報を載せられるね」と軽く相談して、決めています。

メール2:今月の特集

メール全文を見る(クリックで見れない場合はこちら

配信頻度:月1回くらい
配信時間:午前10時頃
内容:特集に沿った書籍の案内

毎月特集テーマを変えて、おすすめ書籍の案内をしています。
「特集」メルマガのヘッダー画像は、その時の内容に合わせて毎回、私が社内の素材集をもとに作っています。書店で展開しているパネルがあれば、そのまま使うこともありますね。そうすれば書店に行ったときにイメージがリンクする効果もあると思うんです。

配信の直前に集中して2〜3時間ほどで企画をしています。例えば11月は「芸術の秋に読みたいアート本」を特集しました。
アートや写真集よりはデザイン書の特集で数字が伸びやすいので、この企画は数字という観点では強いものではないのですが、変化をつけていきたいなと思って企画しています。

本の紹介文は、遷移先のホームページに掲載している文章と同じにはしたくないので、本を1冊ずつ見て、中を読み込んで紹介文を考えています。

メール3:児童書・「100枚レターブック」シリーズの新刊案内

児童書のメール全文を見る(見れない場合はこちら) 100枚レターブックのメール全文を見る(見れない場合はこちら

配信頻度:3~4ヶ月に1回
配信時間:決まっていない
内容:児童書・「100枚レターブック」シリーズの新刊案内

「100枚レターブック」シリーズは、1枚ずつきれいに切り離して使える100枚の紙を集めた本です。手紙や包み紙に使ったり、貼ったり、アイディア次第でいろいろ使える雑貨のようなものです。

100枚レターブック「日本の美しい花」

主な購読者であるデザイナー・クリエイターとは読者層が異なるものの、人気があるシリーズです。

以前は、メールマガジン購読者全員に同じ内容のメールを送っていました。ただデザイナー向けの本と、「100枚レターブック」シリーズおよび児童書とでは、読者層が違うんですね。そこで最近は毎月の新刊案内においてこれらの情報を減らし、別のメルマガとしてセグメントしたリストへ配信を行うようになりました。

「100枚レターブック」シリーズと児童書の読者のため、専用の登録フォームを用意しているほか、対象書籍に添付している読者ハガキからの登録者をリスト化しています。

運用と設計について

1つのメール作成から配信まで1人で完結させている

━担当分けはどのようにされていますか?

別の担当者が「新刊案内」を、私が「特集」を担当しています。
それぞれの担当者が作成から配信までを完結させていますね。

今年(2019年)に入って、広報が2人体制になり、手が回るようになったので、読者に合わせたメールを送ることに力を入れられるようになってきました。そこで「児童書・100枚レターブック(メール3)」を独立させたんです。

主なメルマガ購読層はデザイナー

━ターゲット層の分析はされているのでしょうか?

クリック率を見ると「デザイン関連書」が高かったので、最も読者層として厚いのはデザイナーやクリエイターのようです。
彼らが自分のオフィスのデスクトップで見ることが多いと想定しています。
そのため配信する時間は午前10時くらいを目指しています。始業時間からちょっと経った頃合いを狙っています。

本文の文章量を調節する際には、デザイン関係のものは文章量を多く、コミックや実用系は簡単な紹介に留めるようにしています。

メールマガジンのデザインは画像をきれいに見てもらえるように

「新刊案内」のフォーマットは、2カラムと3カラムどちらが良いだろうかという議論がありました。掲載する本の数が毎月10点と多いため、スクロールが大変だよねということで、3カラムで落ち着きました。

本の表紙が引き立つように、メール本文のデザインに使う色はなるべく少なくして、グレーをベースにしています。ボタンの色には会社のテーマカラーの水色を使って、ホームページと統一しています。

スマートフォンで読んだときにも表紙がきれいに映えるよう、文章量が多くならないように気を使っています。せっかくビジュアルのいい本の表紙が揃っていますからね。文字ではなく画像で伝えることを心がけています。

将来的にはメールマガジンによる売上数の分析もしていきたい

━これまでメールマガジンを運用されて、目的はどれぐらい達成されていますか?

目標は「出版している書籍の情報を知ってもらうこと」になるかと思います。

先日「2019年デザイン書売上ランキング」という特集メルマガを出したんです(メール全文を見る)。1位から10位まで、文章も画像もたくさんで、読むのは大変だろうなと思いながらも、伝えたいことがたくさんあるのでその時はいっぱい書いてしまいました。それでも、メール後半のボタンリンクが一定数クリックしてもらえていたんです。読んでくれる人は読んでくれるんだなと、実感しています。

ほかには、例えば2月22日は猫の日(ニャンニャンニャン)なのでそれに因んだ特集を組みました。PIE Internationalにはすごく売れた『ねこのおてて』という猫の写真集があります。猫の日だから送ってみようと思って特集を組んだのですが、いまいち反応が良くなくて。やっぱりメルマガではデザイン専門書の需要が高いんだなと、ちょっと反省しました。

━今後、こうしていきたいなど展望はありますか?
数字的なところは、Googleアナリティクスの数字を経営会議で報告をしています。それにあわせて、この開封率や、どれがクリック1位だったかというのも、報告しています。

今後は、リンクごとのクリック数と、amazonの売上を連結させて、メルマガでどれだけ売上数があるかというところまで分析していきたいと思っています。

関連記事:Googleアナリティクスを使ってメールマガジンの1歩踏み込んだ効果分析しよう!

まとめ

読者ハガキによる、メールマガジン配信リストの獲得や、画像にこだわったデザインなど、デザイナー向けの出版社ならではのお話を伺うことができました。読者ハガキを使ってリストを作れるのは、出版だからこそですね。

本の表紙を大事にして、メールマガジンでもキレイに表示できるように気を使われているのは、出版社としての愛情を感じました。

また、配信をしたメールマガジンへの反応を見ながら、文章量を調整したり、掲載する内容を変えたりされているのは、しっかりと読者のことを考えているからこそでしょう。メールマガジンの開封率が20%というのも、そういった丁寧なメールマガジンづくりによるものだと思います。

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