皆さんこんにちは、ブログ担当の伏見です。

Benchmark Emailでは送られたメールに対して個別の購読者が行ったアクション(開封やメール内に記載のあるリンク先のページへ推移するなど)をきっかけに、購読者それぞれに合わせた内容のメールを自動で送り分けることができる新機能、EMA(メールマーケティングオートメーション)を活用した新たなワークショップを9/14に開催いたしました。

今回は不動産業界に焦点を当て、同業界で考えられるメールマーケティングオートメーションの施策を実際に不動産業界でメール施策を担当されている方をお招きして考えました。

過去のEMA勉強会記事:
・【Eコマース向け】日本初!メールマーケティングオートメーション勉強会レポート
・【観光ビジネス向け】メールマーケティングオートメーション勉強会レポート
・【人材ビジネス向け】メールマーケティングオートメーション勉強会レポート

今回も講師に宣伝会議にて「Web動画クリエイター養成講座」「自社セミナー企画実践講座」などの講座を持つ前田 考歩氏を迎え、「観光ビジネス向けメールマーケティングワークショップ」をテーマに、大手旅行代理店やメディア企業のマーケターの方々にお集りいただき、メールオートメーションのシナリオ作り(カスタマージャーニー)を皆さんで考えていただきました。

その時の様子や実際に挙がった施策案などを交えながら、ワークショップのレポートをお送りします。

不動産業界のメルマガは敬遠されがち!?

不動産会社からのメールは様々な物件を見ることができるため、家を探しているタイミングでなくてもついつい購読したいコンテンツが多いですよね。

以前インタビューさせていただいたTato Designでも「物件ファン」が多いことからメルマガの開封率がよいというお話を聞きました。

また家探しを将来的にしようかなと考えているタイミングで、なんとなくイメージを膨らませるための情報収集の場としてメルマガに登録してみた、という購読者が多いのも特徴と言えます。

しかしこのようなライトな購読者層にとっては「メールに返信すると、押し売りセールスが来そうだから返信したくない」「まだ本気で家探しを始めていないから、ボリュームのある登録フォームは書きたくない」といった煩わしさがあり、メールを開封してもその次のアクションを起こさないというケースも多くあります。

多くのファンがつくコンテンツがあるからこそ、購読者の「温度感」に合ったフォローアップを行うことで、さらにメール施策を成功させる機会を増やすことができます。そこで、個人の「温度感」に合ったフォローをするために参加いただいた方々にメールマーケティングオートメーションを考えていただきました。

今回の勉強会では以下のオートメーションシナリオを考えてもらいました。

  1. メール施策全体のゴール設定とターゲットを明確化
  2. オートメーションのトリガー(オートメーションメールが開始するきっかけ)となる最初のメール案を作る
  3. トリガーとなるメールが開封されたなった場合、開封しなかった人のみに自動で送られる別のメール案を作る

(EMAを使ったメールマーケティングオートメーションシナリオ例)

メール施策の配信リスト(ターゲット)とゴールを設定する

メールのオートメーション考える上で、まずメール施策を行うゴールと対象となるターゲットを明確にします。参加者からは以下のような例が上がりました。

1.
ターゲット:不動産投資を行なっている・興味を持っている人
目的:物件への問い合わせ

2.
ターゲット:資料請求者
目的:来店

3.
ターゲット:既存顧客(入居者)
目的:自社で扱っている別の賃貸物件への入居(継続的なユーザー獲得)

4.
ターゲット:オフィス移転検討をしている人
目的:ファンの定着化やHPへの回遊率のアップ

5.
ターゲット:既存顧客
目的:リピート契約

オートメーションのトリガーメールを考える

メール施策のターゲットとゴールが決まったところでこの設定を達成するためのメールを考えます。同時に、このメールへの購読者の行動(開封、クリックなど)によってその後のオートメーションメールがスタートするよう、トリガーとして設定します。

1. 成功体験を例にする

不動産投資に興味を持っている人へ、それを行うことでの収益メリットを訴求したメールを作ります。メール本文では具体的な投資対象物件と事例(収益事例)を掲載し、投資対象物件の詳細を掲載したランディングページ(以下、LP)へのクリックを促します。

LPでは物件の詳細と収支シミュレーションを掲載し、問い合わせを促します。

2.フォローアップとしてのメール

資料請求をした方を対象にメールを送るということで、資料請求から数日後に「資料請求いただきありがとうございました」といったお礼メールを送ります。

メール本文では物件とその周辺地域のアピールポイントを明記し、詳細を記載しているLPへ促すためのボタンを設置します。

そしてLPでは地域の良いところを説明したり、メール内では触れていない料金についての説明も加え、来店へのイメージを購読者に与えています。

3. 既存顧客を囲い込むために限定感を与える

賃貸物件を契約している既存顧客へ、自社で所有している他物件へ引っ越しを優先的に行うためのキャンペーンをメールで届けるという施策です。

賃貸物件では既存顧客が必ずしも同じ不動産仲介業者から別の物件へ引っ越すといったリピート契約を常に得られるわけではなく、既存顧客を囲い込むために、先行公開物件情報や手数料の割引キャンペーンをメールに掲載するというものです。

こちらでもLPでは対象物件の詳細と問い合わせボタンを掲載します。

4.ブランドのファンを作り上げる

購読者は全てがそのタイミングで物件を探している訳ではないので、メールでのタッチポイントのタイミングで問い合わせや契約といったものをゴールとするのではなく、あくまでもメールを面白いものと思ってもらうなど、ファンを作りあげて、物件を見つけるそれぞれのタイミングで会社を思い出してもらえるようなエンゲージメント作りとしてのメール施策例もありました。

メールの内容は地域のアピールポイントを特集し、それに興味を持った人をLPヘ促します。LPではキャッチーなコメントと共に物件の写真を1つ掲載し問い合わせフォームへのボタンを掲載しています。

(取り扱っているものがいわゆるインスタ映えするような港区や渋谷区といった地域に限定した物件であるため、そういった地域性に合ったコメントを写真と一緒に掲載しているそうです。)

5. マイナス要因や緊迫感を訴求

こちらはお得感ではなく、行わないことでの得られるはずだった特典を逃してしまうことをアピールするものです。

例えば購入した物件の点検サービスを行なっている企業のメールとして、物件購入をしている既存顧客へ無料保証対象の期限が迫っていることをメールタイトルで伝え、メール本文では点検サービス(有料)を受けることでその後の補修工事費用が無料で得られることを伝えるというものです。

そしてLPではサービス内容の詳細と申し込みフォームを埋め込み、サービスへの登録を目的としています。

最初のメールで目的達成できなかった時に自動で配信される次のメール施策を考える

このシートではトリガーとなる最初のメールを開封してくれなかった購読者へ向けたシナリオをその後三つの分岐点に注目して考えました。

  1. 【開封】最初のメールを開封しなかった購読者だけに、別のアプローチ方法として異なるメールで訴求するとしたら、そのメールの件名はどういったものか
  2. 【遷移】メールを開封したが、メール内に設置したリンクボタンなどからLPへ移動してもらえなかった購読者に対し、LPへ進んでもらうために別のメール文での訴求方法を考える
  3. 【達成】移動した先のLPで達成してもらう特定のアクション(=メール施策のゴール。)をしてもらえなかった場合、別のLPを設定するならどんなものが良いか

1. 別のセグメントを想定

収入レベルや性別、年齢などのセグメントを絞ったメール内容でも開封されない場合、そのセグメントとはまた違ったセグメントで訴求することで興味を引き出すことができる可能性があります。

例えば、収入レベルを軸としたメールタイトルだった最初のメールから、今度は住む地域を訴求ポイントとしてメールタイトルに記載することで、別の角度からのアプローチを狙うというものです。このタイトルに合わせて、メール内容も物件周辺地域のおすすめポイントを掲載します。

2.タイムリミットを煽る

同条件の物件や同じ建物の空室が残り〇〇部屋といった、切迫感を煽るメールタイトルです。

そしてメール内容、LPでは動画を用いて物件内をくまなく見せることで、内見に行かなくても様子がわかるようにすることで、ユーザーの手間を省くという施策です。

3.より包括的な内容へシフト

同じ情報でもターゲットを絞りすぎるため、メールを開封してもらえてないことがあります。例えば港区に住みたくても品川周辺と、青山周辺に住みたいと思っている人が異なるというケースがあります。

1通目のメールタイトルが品川だったために、同じ港区でも青山周辺で物件を探している人にはこれではささりませんね。

オートメーションで配信するメールではより広い範囲(例の場合、「港区でオススメの物件」など)にささるタイトルのメールを送ることでより高い開封率を得られる可能性が増えますね。

さいごに

不動産業界におけるゴールは物件契約など単価が高いゆえ、コンバージョンまでに時間がかかるものです。ですから冒頭でお伝えしたようにとりあえず情報収集としてメルマガ登録した、という人が多いのも事実です。

そういった意味でブランドのファンを作っておくための施策としてメルマガを配信することもメール施策としての1つのゴールと言えるでしょう。

また単価が高いからこそ、キャンペーンなどの割引はユーザー側からするととてもうれしいものではないでしょうか。また個人的にはお得感を押すだけでなく、逃してしまうと損をするといったマイナス要素を含んだ切迫感を訴求するというのにはとても興味をそそられました。

Benchmark Emailのニュースレターでもそういったタイトルのメールが届く日も来るかもしれません。

ということで今回のワークショップのまとめ

  • 購読者の温度感に合わせたメールの訴求内容を考える
  • 成功体験や限定コンテンツでお得感をアピールする
  • キャンペーンを逃した時のマイナス点を明記する

では、今回以上です! 伏見でした。