受信箱に入るメールはどう選ばれる?Gmailなど主要メールサービスの判断基準
※本記事は、Benchmark Email英語版のブログ記事「How Inbox Providers Are Deciding Which Emails You See (And How to Work With Them)」をもとに、日本向けに翻訳したものです。
受信箱でメールが振り分けられる主な基準は「迷惑メールかどうか」を超えて、よりパーソナライズされたものへと進化しています。
Gmail、Yahoo、Outlookといったメールサービス事業者は、読者一人ひとりの行動に応じて、メールの優先順位付けや分類を行うようになりました。
そのため、同じメルマガ読者でも、メールが届く場所や表示のされ方は大きく異なる可能性があります。違いを生むのは、その読者が送信元から届くメールにどのように反応してきたかです。
今回は、こうした受信箱の仕組みを理解し、エンゲージメントの高め方やリストのセグメント方法、到達率への向き合い方を考えていきましょう。
目次
この記事のポイント
| ポイント | |
| 1 | 読者の行動が、メールの表示を左右する時代に(Gmail、Yahoo、Outlookなど) |
| 2 | 判断材料は開封や閲覧時間、返信、削除、フォルダ移動など |
| 3 | 従来の迷惑メール判定に、読者ごとの判断が上乗せされる仕組み |
| 4 | 反応別のセグメント配信や掘り起こしで、リスト全体の到達率アップへ |
| 5 | 最も大切なのは、読者が読みたくなるコンテンツを届けること |
代表的な5つの判断基準(シグナル)
メールサービス各社は、具体的なアルゴリズムは公開していません。ただし、重視されている行動シグナルがいくつかあることが、公表情報や専門家の観察からわかっています。
1.開封と、閲覧時間の長さ
読者がメールを開封したか、画面上でどのくらいの時間読んでいたかです。開いてすぐに閉じられたメールと、じっくり時間をかけて読まれたメールとでは、伝わるシグナルが異なります。
一部のメールソフト・アプリでは、スクロールの深さも関心度を測る目安になるといわれています。
2.返信・転送
返信や転送をされたメールは、行動を起こしたり誰かに共有したりしたくなるほど、価値のある内容だったと考えられ、強いプラスのシグナルとしてカウントされます。
3.削除までの早さ
開封から数秒で削除されたメールや、開封されないまま削除されたメールは、マイナスのシグナルになります。同じ送信元のメールがすぐに削除されることが続くと、受信箱はその読者に対して、その送信元の優先度を下げるよう学習していきます。
4.フォルダの移動
読者が手動でメールを別のタブやフォルダに移すことがあります。メインの受信箱に戻す場合も含め、これは「今後この送信元のメールをどう扱ってほしいか」を示す明確なシグナルです。
5.重要マークやスター
マーケティングメールにつけられる場面は一般的にあまり多くありませんが、もしつけられた場合は強力なプラスのシグナルになります。
こうしたシグナル自体は従来からあるものですが、機械学習が進んだ最近では、読者ごとにより細かく活用されるようになりました。
従来の迷惑メールフィルターとの違い
従来の迷惑メールフィルターが見ていたのは、主に送信元とメッセージそのものでしたが、昨今ではここに機械学習による読者ごとの判断が加えられています。そのため、送信元全体の評価が非常に高いブランドでも、半年間反応のない読者など、対象によっては、メールが目立たない場所へ振り分けられるということが起こりえます。
もちろん、迷惑メールと判定されやすい単語が含まれていないか、送信ドメイン認証の設定は済んでいるか、ドメインの評価は良好か、といった従来のフィルターも引き続き重要です。
関連記事:メルマガが迷惑メールに入る原因と、配信担当者ができる対策
受信箱でメルマガを目立たせるためにできること
表示位置を改善するためのポイントは、これまでメールマーケティング全般で大切とされてきたこととほぼ同じです。
1.エンゲージメントの高さでリストを分ける
開封・閲覧・クリックなどの反応を継続的に示す読者は、売上だけでなく到達率の面でも最も価値のある存在です。こうした読者のプラスの反応が続くことで、送信元全体の評価も支えられます。
一方、長期間反応のない読者は、すぐに削除する、開封しないといったマイナスのシグナルを生みやすくなります。その結果、その読者への表示位置が下がるだけでなく、送信元全体の評価にも悪影響が及ぶ可能性があります。
まずは、過去2〜3ヶ月に反応があるかどうかでセグメントを分けてみても良いでしょう。

Benchmark Emailでは、一定期間に開封・クリックなどの特定のアクションを取ったコンタクトを絞り込むことができます。
関連FAQ:コンタクト一覧ページのフィルタ機能でリストを作成
2.掘り起こしを行いつつ、やめどきも見極める
反応のない読者を諦める前に、まずは掘り起こしを目的としたキャンペーンを検討しましょう。
たとえば、以下のような施策があります。
- 限定特典を届ける:「しばらくご利用のない方へ」として、割引クーポンや送料無料などの特典を案内します。読者が再び行動を起こすきっかけになります。
- 配信内容や頻度の希望を聞く:「今後どんな情報を受け取りたいですか?」とアンケートで尋ね、配信頻度やテーマを選べるようにします。読者の関心に合った内容に切り替えるきっかけにもなります。
- 購読を続けるか確認する:「今後もメルマガの受け取りを希望されますか?」と、継続の意思をシンプルに確認します。ボタン1つで回答できる形にしておくと、反応を得やすくなります。
ただし、しっかり働きかけても反応がない場合は注意が必要です。配信を続けても急にコンバージョンにつながることは少なく、マイナスのシグナルを送る可能性のほうが高くなります。そうした読者を通常配信の対象から外す(少なくとも配信頻度を下げる)と、ほかの読者への到達率がかえって改善することもあります。
3.じっくり読みたくなるコンテンツをつくる
閲覧時間は、時間をかけて読む価値のあるコンテンツを評価するシグナルです。これは単に長くすればよいわけではなく、流し読みで終わらない、本当に読みたくなる内容であることが大切です。
宣伝ばかりで中身の薄いメールが、役立つ情報を織り交ぜたメールより成果を出しにくいのは、こうした理由もあります。
メールのコンテンツを考える方法は、こちらの記事も参考にしてください。
関連記事:開封率が上がるメルマガネタの探し方6選とネタ切れ対処法
4.自然な形で返信を促す
質問やフィードバックの依頼、意見の募集など、読者が返信する自然な理由がある場合、その返信は強いプラスのシグナルになります。
毎回のメールで「ひとことでも返信してくださいね!」と無理に呼びかける必要はありません。ただ、返信が自然なやり取りの一部になる場面では、積極的に促してみるとよいでしょう。
5.「フォルダ移動」の傾向に注目する
アンケートやサポートへの問い合わせなどから、読者がメールをメインの受信箱から日常的に移動しているとわかった場合は、原因を調べてみましょう。
登録時に読者が期待していた内容と、実際に届くコンテンツがずれている可能性があります。
登録時の案内文(配信内容や頻度の説明)と、実際のメルマガのテーマ・頻度が合っているかを見直してみましょう。
関連記事:【メルマガの始め方ガイド】8ステップで運用フローをまるごと解説
よくある質問
一部の読者に対してメールの優先度が下げられているかどうか、どうすればわかりますか?
優先度が下げられているかを直接確認できるレポートはありませんが、手がかりになるのは、特定のセグメントで開封率が徐々に下がっているケースです。
特に、反応の良い読者の開封率が横ばいまたは上昇しているのに、特定のセグメントだけが下がっている場合は注意が必要です。全体の平均を見るよりも、セグメントごとのエンゲージメントの推移を比較するほうが役立ちます。
あらかじめリストをセグメントに分けておくと、こうした比較がしやすくなります。
メルマガの配信頻度を減らすべきということですか?
全員への配信頻度を一律に減らす必要はありません。ただし、セグメントごとに頻度を変えるべきだとはいえます。反応の良い読者は、頻度が高くても受け入れてくれる、あるいはむしろ望んでいる場合があります。一方、反応の薄い読者には頻度を下げたほうが効果的なこともあります。
読者のマイナスのシグナルを「リセット」する方法はありますか?
公式なリセット方法はありません。ただ、時間をかければシグナルを少しずつ改善することはできます。関連性が高く、ターゲットを絞ったコンテンツを継続して届けながら、反応のないセグメントへの配信量を減らしましょう。即効性のある解決策はありませんが、良い取り組みを続けることで傾向は変えられます。
こうしたシグナルの影響は、BtoBとBtoCで違いますか?
基本的な仕組みはメールの種類を問わず共通しています。ただし、BtoBの受信者は普段の行動パターンが異なる場合があります。たとえば、メールを確認しない期間があるため開封の間隔があく、PCとスマートフォンでスクロールの仕方が違う、といった点です。「エンゲージメントが重要」「関連性が重要」といった基本原則は、どちらにも当てはまります。
一度もメールを開封しない読者への配信は、やめるべきですか?
すぐにやめる必要はありません。長期的には、段階的に対応するのが健全な戦略です。まず掘り起こしを試み、それでも反応がなければ配信頻度を下げます。決めた期間を過ぎても反応がない読者は、リストから外します。同じ頻度で配信を続けるよりも、このほうが望ましいでしょう。
まとめ
受信箱における振り分けのパーソナライズ化は、「読者に喜ばれるメールほど届きやすい」という、メールマーケターが以前から感覚的にわかっていたことを、仕組みとして自動化したものです。読者の反応は配信のたびに積み重なり、メールサービス事業者はそれをもとに、自社メールの表示位置を読者ごとに判断しています。
そのため、到達率を上げる近道は、フィルターをすり抜ける工夫ではありません。反応の良い読者には価値のあるコンテンツを届け続け、反応のない読者には配信頻度や内容を見直すといったような、メルマガ運用の基本を一通ごとに積み重ねることが、受信箱で読まれ続けるための確実な方法といえます。

