ここまで3回を通じて、メールマーケティングの重要性や必要性、最初の一歩を踏み出すためのメールマーケティングの「守破離」について、お伝えしてきました。そして今回からは、実際にメールマーケティングを行っていく、その基本的なステップに入っていきます。

私自身、オウンドメディアとしての自社メディアをいくつか持っており、そこからサービスにつなげるための定期的接触ツールとしてメールを活用しています。その辺りの実際のマーケティングロジックの話も加えながら、この連載は進めていきます。ですので、途中から読んでいる方はぜひ、最初から順番に読んでいくことをお勧めします。

第1回:メールは死んだ?そんなことはない。
第2回:メールマーケティング最初の一歩は顧客の理解から
第3回:「思いつかない時は他社に学ぼう」

メール配信から成果につながるまでの流れを把握する

ではまず、最初にメールを配信するというところからいきましょう。、どのように最終的に狙った成果にたどり着くのか、そのイメージについてです。メールマーケティングは「マーケティング」ですので、きちんと「仕組み」を作っていかなければなりません。そうでなければただ場当たり的にDMを送っているのと変わりません。そのためには、仮説を立てて実行し、計測すべき「指標」をおさえてPDCAサイクルを回していく事が必要です。そしてこの「指標」が重要で、これはWebマーケティングの世界ではKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)とも呼ばれます。KPIが悪化しているか良化しているかによって、今行っている施策の良し悪しを決めるんですね。言ってみれば航海の中での羅針盤・GPSみたいなものです。この指標を見ながら、どうしたら集客から成約までのマーケティングロジックができあがるかを、試行錯誤しながら考えていくわけです。
では、その前提でメールマーケティングの基本的な流れは一体どんなものなのでしょうか。そして、どんな指標を見ていけばよいのでしょうか。それを表したのが以下の図です。下の図表を御覧ください。おおまかにメール配信からビジネス上の成果までの流れを図式化したものです。


大きくこの4ステップを意識することをまずはお勧めします。もちろんもっと細かく見ていく必要がないわけではありませんし、これに当てはまらないこともあります。ただ、これは、あくまでこれからいろいろなことをおさえていくための基本パターンです。最初の一歩としてまずはこの図表をご覧ください。

4ステップのサンプルストーリー

この図には4つのステップがあります。それぞれは下記の通りです。

1. メールを開封する
2. メールの中のリンククリックなどのメール内でのアクション
3. サイトに移動したあと閲覧を開始する
4. コンバージョンする

メールを活用する場合、最終的な目的として「Webサイトなどに誘導する」あるいは「リアルな何か、例えば展示会などに誘導する」ケースが多いでしょう。それを念頭に置いています。このステップのどこにボトルネックがあるかを把握し、改善を繰り返していくことでこの全体の流れをスムーズにしていく、それが重要です。イメージを作るために、一つストーリーをお伝えしましょう。

「50代夫婦、持ち家を買ってもうすぐ20年目。家の中もくたびれ始めてきたので、何かのきっかけとして工務店のメールマガジンを購読し始めた。最初は読まなかったが、ちょうど自宅の雨漏りが気になり始めた梅雨前の4月頃に、雨漏りに関するノウハウが書かれたメールが届いた。いつもは見ないか、さらっとしか見ないが、興味があったので読んでみると、なるほどと思う内容だった。その後数回同様のメールが来ていて、更に詳しい情報があるということで、はじめてその工務店のページを見るためにメールの中のリンクをカチッとクリックした。予想していたような写真や解説があったため、サイトの中をしばらく見て回った。その後、天気予報で今年の梅雨は早めに始まりそうだという話を聞いて、その工務店に問い合わせをフォームから行った」

自然な流れですよね。実はそれは当然です。なぜなら、これは実際に弊社のお客さまに調べてもらったユーザー行動の一部だからです。アクセス者はこんなことをしながら、自分が求めているサービスを決めているのですね。ではここからは、この図をベースにそれぞれのステップについて解説していきます。また、同時に見るべき項目や指標にも触れていきます。

ステップ詳細:1.メールを開封する

まずは「メールを開封するかどうか」ですが、これは先ほどのストーリーで言うと、「ちょうど自宅の雨漏りが気になり始めた梅雨前の4月頃に、雨漏りに関するノウハウが書かれたメールが届いた。いつもは見ないか、さらっとしか見ないが、興味があったので読んでみる」という部分です。実はこの「開封」が曲者です。DMをたくさん出したことがある方は実感として持っているかもしれませんね。まずDMを開封してもらえるかどうかが最も大変です。メールもそれと同じです。このケースではあっさり開封してくれましたが、そうでない場合の方が多いでしょう。開封されなければ、なんの意味もありません。ただのノイズになってしまいます。ただでさえ世の中大量のメールが流通しているのですから、そういったノイズは悪印象しか与えません。

ここで活躍する指標が「開封率」

この時チェックしたい指標が「開封率」です。通常のテキストメールでは測ることができませんがHTMLメールであれば開封確認が可能です。それぞれのメールごとに配信対象のうち何%が開封してくれたのかがわかるんです。これはとても重要な事です。あなたが毎週頑張って書いているメールが全体の3%くらいにしか開封されていないのか、あるいは50%もの人に開封されて読まれているか、それによって行うべきことは大きく変わってきますよね。

例えば開封率が低いのであれば、開封率を上げるために配信メールを変えなければなりません。逆に高いのであれば特に何かをする必要はありません。開封率測定は必須です。そのためだけにHTMLメールに乗り換えてもいいくらいです。Webサイトで言えば「直帰率」に当たるのではと思います。あるいは検索結果からのクリック率(CTR)ですね。どちらも、アクセス者とのファーストタッチをどうすべきかという観点で非常に大事な指標です。これは開封率も同じです。テストを繰り返して、まずはたくさんのユーザーに開封してもらうことを目指して下さい。

Benchmark Email
を使えば、未開封のユーザーに対して再度メールを送ることも簡単にできます。開封しなかったユーザーに対して違う曜日や時間帯に配信して様子を見るなんていうこともできます。ちなみに、この時気にするべき項目は「差出人(From)」「件名(Subject)」「配信時期(Send Timing)」です。開封してもらうために、いかに相手に響くような件名を付けて、信頼感を与えるような差出人にして、相手が時間に余裕のある配信時期を見極めて配信できるかです。この辺りは今後の連載で詳しく実践ノウハウとして書いていきたいと思いますので、ここでは省略します。

繰り返しになりますが、お客さんに触れる最初の一歩として「本当に自分たちが出しているメールは開封されているの?」ということを把握するための開封率測定、これがメールマーケティングでは非常に重要です。HTMLメールでないとダメということで特に昔からネットを使っている人は嫌なのではと思います。しかし、もうそんな時代ではありません。スマホではHTMLメールはデフォルトで見られますし、大概のメーラーもHTMLメールを普通に受信できます。また、HTMLメールを受信しないメーラーには自動的にテキストが表示されるマルチパート機能というものもありユーザーへの配慮を取り入れず、技術的な進歩も進んでいます。

私はずっとHTMLメールをメルマガでも普段のメーラーやSFA(Sales Force Automation:営業支援システム)経由でも使っています。全然不自由がありません。時代は変わっています。

まとめ

今回は、全体のイメージと、その最初のステップ1「開封」についてでした。次回はその先のステップについて書いていきたいと思います。ぜひご覧ください。