Benchmark Emailが実施した「日本のメールマガジン購読状況調査」と「ヨーロッパのメールマガジン購読状況調査」の結果を比べてみました。
調査における回答者の数や属性、設問など、細かな条件が異なるため厳密な比較とはいえませんが、こういうものも面白いかなと思い共有します。
楽しんで読んでいただけたら幸いです!

調査概要

いずれも一般のインターネットユーザーを対象に、メールマガジンの購読状況についてお尋ねしたものです。

ヨーロッパ版の調査
Benchmark Emailのヨーロッパ法人が2023年秋に実施し、英語、スペイン語、ドイツ語、フランス語、イタリア語で調査を行いました。

日本版の調査
詳細はこちらの記事をご覧ください:メールマガジン購読状況調査 2023年度版

日本版のみ仕事用アドレス・プライベート用アドレスそれぞれについて尋ねている設問があります。そうした設問の比較グラフでは「ヨーロッパ版」「日本版(仕事用)」「日本版(プライベート用)」の3つで比較を行っています。

メルマガ購読に利用されているメールソフトは?

まずはメルマガを読むのに使っているメールソフトから見ていきましょう。

Q. どのメールサービスを使ってメールを読んでいますか?(複数選択)
Which email service do you use to read your newsletters? [Multiple Choice]

ヨーロッパ版調査では1位が「Gmail」、2位が「Outlook」、3位が「その他」でした。

Gmail
ヨーロッパ版 85.1%
日本版(仕事用) 62.0%
日本版(プライベート用) 67.0%

Yahoo!メール
ヨーロッパ版 5.5%
日本版(仕事用) 46.3%
日本版(プライベート用) 52.6%

Gmailが一番人気である点はどちらの調査でも変わりませんでしたが、Yahoo!メールは日本版とヨーロッパ版で大きな違いが出ています。日本版の調査ではYahoo!メールの利用率が高いので、意外に思われる方もいるかもしれませんね。

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次に、Gmailユーザーに、メインタブだけではなく「プロモーション」「新着」などのタブを見るかと尋ねました。

Q.メインタブだけでなく「プロモーション」や「新着」など他のタブも開いていますか?
Do you open and view the ‘Promotions’, ‘Updates’ or other tabs as well as the “Primary” or main tab?

いずれの調査でも、見る派(青色のゾーン)のほうが、見ない派(灰色のゾーン)よりも多い結果となりました。ヨーロッパ版では7割弱、日本版では8割強の人がメインタブ以外も見ていることになりますね。

スマホとPC、どちらのデバイスで読まれているか?

Q. スマホとPC、どちらでメールを読みますか?
Do you read your newsletters on a smartphone or a PC?

日本の調査では、仕事用アドレスでは「PCのみ」「両方だがPCが多い」を合わせたPC派が優勢、プライベート用アドレスでは「スマホのみ」「両方だがスマホが多い」を合わせたスマホ派が優勢という結果でした。

ヨーロッパの調査は半々の結果で、スマホ派が53%、PC派が47%でした。なお「スマホのみ」と答えた人の割合は17%で、日本の調査と比べて少ない結果となりました。

1日にどれくらいのメルマガを受信して読んでいる?

Q. 1日に平均何通のメルマガを受信していますか?
How many newsletters do you receive on average per day?

1位は「1〜5通」、2位は「6〜10通」という順位は同じとなりました。3位は日本の調査では「21通以上」、ヨーロッパの調査では「1通未満」です。

ヨーロッパ版調査の結果のほうが、受信しているメルマガの通数は少ない印象でしょうか。

Q. そのうち、平均何通のメルマガを開いて読んでいますか?
Of the newsletters received, on average how many do you open and read?

1位は同じで「1〜5通」、2位は日本版が「6〜10通」ヨーロッパ版が「1通未満」でした。

ヨーロッパ版の調査では「1通未満」+「1〜5通」の合計が87%になりますので、ここが圧倒的なボリュームゾーンかと思います。日本では「1通未満」+「1〜5通」の合計は5割程度ですので、それ以外の45〜49%の人は1日に6通以上のメルマガを読んでいるようです。

Q. 1日あたり平均どのくらいかけてメルマガを読んでいますか?
On average, how long do you spend a day reading newsletters?

*設問を合わせるため、日本の調査結果は2022年版のものを使っています。

回答が多かった選択肢は同じで、1位は「1〜5分」、2位は「1分未満」、3位は「5〜10分」となりました。

ヨーロッパ版の調査では、日本版に比べて受信・開封しているメルマガの通数は少なめでした。その一方でメルマガを読むのにかける時間は日本と同程度または長めですので、ヨーロッパ版の回答者は購読するメルマガの通数は厳選しつつ、開封したものは比較的じっくり読んでいるのかなと想像しました。ヨーロッパはGDPRの影響があるので、リストの取り扱いが丁寧なのかもしれません。

このように比べてみると、やはり面白いですね。

メルマガを読む時間帯は?

続いては、メールを読む時間帯について見てみましょう。

Q. メルマガを読むのはどの時間帯が多いですか?最も多い時間帯をお選びください。
When do you most often read newsletters?

ヨーロッパ版調査
1位「〜9時台」2位「10時〜11時台」3位「12時〜15時台」
午前中にメールを読む人が多いという結果に。

日本版調査(仕事用アドレス)
1位「12時〜15時台」2位「〜9時台」3位「10時〜11時台」
昼間の業務時間中にメールを読む人が多いという結果に。

日本版調査(プライベート用アドレス)
1位「21時〜23時台」2位「19時〜20時台」3位「12時〜15時台」
夜寝る前の時間や、お昼にメールを読む人が多いという結果に。

アドレスの用途による影響があるかもしれませんが、ヨーロッパ版の調査では午前中にメールを読む人が多いという結果でした。

メルマガは何日前までさかのぼって読んでいる?

配信した翌日以降に、メルマガを読んでもらえる可能性はあるのでしょうか。
こちらもふたつの調査で差が出る結果となりました。

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Q. 受信したメルマガはどれくらいさかのぼって読むことが多いですか?
How often do you go back and read the newsletters you receive?

ヨーロッパでは67%が「当日のメルマガしか読まない」と回答しており、日本よりも受信したメルマガを遡って読む人は少ないようです。ヨーロッパ向けの配信では、配信時間や曜日による開封率の差がよりシビアに出てくる可能性がありますね。

関連記事:メルマガを配信する時間と曜日の”正解”は?読者の行動時間と調査データから仮説を立てよう

メルマガに期待しているコンテンツは?

メルマガの中身についても、それぞれ異なる結果が出ました。
1位を赤、2位をオレンジ、3位を黄色で記載します。

Q. 特にどんなコンテンツを期待して登録しましたか?(複数回答)
What was the newsletter about? [Multiple Choice]

ヨーロッパ版調査
1位:ブログ記事、コラムなどの役に立つ読み物
2位:最新情報、ニュース
3位:ブランドやサービスが提供する商品の情報、カタログ、メニュー

日本版調査
1位:最新情報、ニュース
2位:セール、クーポンなどお得な情報
3位:ブランドやサービスが提供する商品の情報、カタログ、メニュー

「セール、クーポンなどお得な情報」は日本版調査では2位ですが、ヨーロッパ版調査では5位でした。もしヨーロッパ向けにセールのお知らせばかりを打ち出していて反応が良くないという場合は、役立つコンテンツや最新情報も合わせて発信してみると、また結果が変わるかもしれません。

ヨーロッパ版の結果ではブログ記事やコラムなどの役に立つ読み物が1位ということですので、1通あたりにかける時間が長めなことや、1日あたりの購読数が少ない結果になったのも納得ですね。

*なおこちらの結果は、地域だけではなく回答者属性が影響している可能性があります。日本版ではインターネット調査サービスを利用した一方で、ヨーロッパ版ではSNSやBenchmark Emailのサイト・ニュースレター等で回答者を募集しました。ヨーロッパ版調査では、そもそもニュース等の情報収集に対する意欲が高い回答者が多いのかもしれません。

メルマガの配信停止について

配信停止を行う理由は、おおむね似たような結果となりました。

Q. メルマガの購読を停止(解除)する時はどんな理由が多いですか?最も多い理由をお選びください。
What is the main reason for unsubscribing? Please select the most common reason.

いずれの調査でも「配信数が多すぎる」と「メルマガの内容に興味がなくなった」がそれぞれ3〜4割を占めています。

一方で、メルマガの購読を停止する方法については、日本版の方が「迷惑メール・スパム報告」の選択肢を取ってしまう人の割合が多いという違いが出ていました。

Q.どのような方法でメルマガの購読を停止(解除)することが多いですか?最も多い方法を選択してください。
How did you unsubscribe?

配信停止リンクからの手続きではなく「迷惑メール・スパム報告」が行われてしまうと、メールの到達率に悪影響が出る恐れがあります。日本版の25.4%(4人に1人)という回答はヨーロッパ版と比べても高いですね。

日本国内向けに配信する場合は、配信停止リンクをわかりやすくする、エンゲージが低い読者への配信頻度をコントロールする、読者自身が意識しないまま登録されてしまう形は避ける、などの、リスク対策を強く心がけましょう。

参考記事:GmailとYahooメールの新しい迷惑メール判定ポリシーとメール配信者が行うべき対応について

その他

なお、2つの調査で結果があまり変わらなかった問いには以下のものがありました。

Q. メールを開く、開かないの判断に最も影響するところはどこですか?
What influences you the most to open an email or not?

開封の判断に影響するのはどちらも「件名」が1位で半数前後でした。その他の要素も「差出人名」「本文プレビュー」が2割前後と同じ傾向のようです。

Q. Webページなどにあるメルマガ登録フォームから、自ら購読を申し込んだことはありますか?
Have you ever subscribed to a newsletter through a newsletter sign-up form on a web page?

8割程度の人が登録フォームを使った経験があり、フォームを置く大切さがわかります。

まとめ

二つの調査結果を楽しんでいただけましたでしょうか。

Gmailが日本とヨーロッパで一番利用されているものの、Yahoo!メールの利用率には大きな差がある結果となりました。

また、ヨーロッパではメルマガをじっくり読む傾向があり、購読者は特にブログ記事や役に立つ読み物を期待していることが見て取れる結果でした。ヨーロッパはGDPRの影響があるので、リストの取り扱いが丁寧なのか、受信するメルマガの通数も少なめでした。

ヨーロッパ向けの配信で悩まれている方は、コンテンツの種類や長さを変えてみることで効果が変わるかもしれませんね。

この記事がアイデアの一助になれば幸いです。

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著者情報:

by 山本 美智